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何?これ。
チャイムがなったから玄関に行くとAが立っていた。
風磨「A!?何やってんだよ、病院は?」
「抜け出してきちゃった」
風磨「は?馬鹿なのお前は?帰れ」
「えー……風磨に会いたくて来たのに……」
俯くAを見てたら、断らるわけないじゃん。
本当にAはずるい。
風磨「どうぞ」
「やったぁ!」
Aは前に倒れた時と同じ位置のソファーに座る。
俺もこの前と同じ位置。
Aが斜め前にいる感じ。
話しやすいな。
こういう、ありふれたひと時をソファーの定位置で過ごして。
何となく……いつだってこのままでいたくて。
「私ね、風磨に会えて本当に幸せ」
風磨「……いきなりどうした?」
俺はAのおでこに手を当てる。
風磨「熱はねーな」
「ひどい!本気で言ったのに。だ、大好きなんだよ?」
甘え方はぎこちなくて、上手くできてないし。
そこがまた可愛いんだけどな。
風磨「…ありがとな。これからもずっと一緒」
「……できたら、ね」
風磨「できるって。大丈夫だよ」
「30%だよ?」
風磨「負けてもないのに言うな」
「風磨には分からないよ……5年後生きてないかもしれない恐怖を」
風磨「確かに、分からないよ。でも理解したいんだ」
Aは俯いたまま何も言わない。
風磨「ごめんな。根拠の無いこと言って」
「……」
いきなり手が何かに包まれる。
見ると、Aの手が俺の手の上にかぶさっていた。
俺はそれを握り返す。
喧嘩っぽくなっても、Aから手を引いてくれる。
大好きだよ。俺だって。
俺はAのことを思い切り抱きしめた。
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作者名:R.N | 作成日時:2018年4月14日 16時