ゆるゆる短編集 6【芸人】 (ページ26)

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祇園櫻井ページ26

櫻井side

『水族館デートってええですよね』

櫻井｢え？何、木﨑さんなん？ネタ始めるん？｣

僕の前の席でぼそりと呟いた。

『あれは“すいぞっかんデート”ですやん』

櫻井｢え、A、“ぞ”の時…｣

『ブスやとか言うたらしばき倒しますよ』

櫻井｢ごめんなさい｣

怖。目線で殺されるかと思った。

当の本人はさっきの顔が嘘のようにいつもの可愛い顔で机に突っ伏してる。

『私水族館の雰囲気が好きなんですよね。暗くて、静かで』

櫻井｢へぇ｣

『イルカも大好きやし、チンアナゴも好きやし、ダイオウグソクムシも好きやし』

櫻井｢後半癖つよ｣

『悠々と泳いでる魚達見てると自分の悩みとかちっぽけに思えて、明日からも頑張ろって思えるんですよね』

櫻井｢…せやなぁ｣

『ていうか何よりも、好きな人と水族館でデートするっていうシチュエーションに憧れてたんですよねぇ』

…さっきからチラチラと見てんのバレてるで。

行きたいって言えばええのにわざわざ遠回しに言ってくるあたり。

櫻井｢…可愛ええなぁ｣

『水族館、行きたいなぁ』

櫻井｢水族館デート、する？｣

『ええの！？』

目キラッキラさせてすっごい嬉しそうに笑うA。

櫻井｢次休み合うたら連れてったるな｣

『やったー！水族館っ水族館っ』

櫻井｢すいぞっかんデート｣

『ちゃいます、水族館デートです。櫻井さんイルカショーで薬指のコスプレして出てくんのやめてくださいね』

櫻井｢するか、気色悪い！プロポーズはもっとちゃんとするわ！｣

『…お、』

櫻井｢…あ、待って。今の無し。聞かんかった事にして！｣

『…えへへ』

櫻井｢あーも…｣