ゆるゆる短編集 6【芸人】 (ページ33)

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アインシュタイン河井ページ33

河井side

久しぶりにお休みを頂いたからちょっと豪華なお昼ご飯を作ってみた。

手際良くフライパンを振ったり、包丁を動かしたり。

沢山のお皿で埋まっていくキッチンの向こう側に目を向けた時、こっちをじぃぃぃぃぃぃぃっと見詰めてるAと目が合った。

河井｢…穴開きそうなんですが。

どうかした？｣

『ほんま…女子力』

河井｢高いって事？w｣

そう聞けばこくりと頷いた。

俺的にはカウンターキッチンの向こう側から鼻より上だけを出してこっち見詰めてきてるAの方が圧倒的に女子力高いと思うねんけど。

『ゆずるくん見てるとほんま自分が嫌になんねん』

河井｢なんでやねん、やめてや｣

『まず普通に顔良いやん？顔良いくせにめっちゃ面白い漫才するし、かと思ったらめっちゃ手際良く料理作るし器用だし優しいし、女子の私より女子力あるし。
なんか欠点とか無いんでしょうか』

うん…普通に恥ずかしい。

普段そんな事言わへんくせにこういう時だけ素直になんのせこくない？

熱くなってきた顔を誤魔化すように慌てて料理を進めれば熱々のフライパンに手が触れた。

河井｢あっつ…！｣

『…ふふっ』

河井｢何わろてんねん｣

『今ざまあみろって思った』

河井｢性格悪っ｣

『ゆずるくんの失敗する姿珍しいから嬉しいねんもん』

ほんまに嬉しそうに笑うA。

マジで性格悪い、けど可愛いから許す。

『でも、さっき自分が嫌になるって言ったけど唯一自分が誇らしくなる時があります』

河井｢…何？｣

『そんな完璧なゆずるくんを彼氏にしちゃってる事。
これ以上に誇らしい事なんか無いでしょ？
こんなハイスペック王子が私の彼氏なん？って思うと未だに頬緩んじゃう』

…ほんまにコイツさぁ……。

河井｢小悪魔｣

『へ？』

河井｢俺一生お前には勝たれへんわ｣

『……それは私の台詞では？』

そういうとこ、好きやで。