俺は男だから２【今日から俺は!!】

第80話 ページ33

Aside









後ろから角材で殴るという三橋も顔負けの卑怯さで三橋と伊藤に奇襲をかけた紅野に手を取られ、無理やり歩き出させられた。




先回りして助ける事が出来なかった自分の不甲斐なさを悔やんでると、前から見覚えのある制服の集団が長髪を抱えてやって来た。









『……っ、智司』









思わず漏れた自分の声にきゅうっと心臓が締め付けられた。


途端に理子の言葉を思い出す。






そして勘違いでも自惚れでもなければ、智司も同じような顔をした


…ように見えた。









ゴロー｢あぁ…紅野ちゃん｣









地面に乱雑に落とされた血塗れの長髪が紅野の名を呼び手を振ると、｢やっべー…｣と一言呟き俺の手を取ったまま走り出した。









『うわぁっ！？』


片桐｢追え｣









智司の声が聞こえたかと思うと沢山の怒号と足音が追い掛けて来た。





昨日といい今日といいなんで俺が開久から逃げるっていう経験をしなきゃなんないのさ！！



しかも手首掴まれてるから走りにくい！！









伊藤｢どけどけどけ！｣


三橋｢どけこらぁー！！｣









聞こえるはずのない声までして、なんとか後ろを振り返れば開久くん達の波をかき分けて走って来るツンツン頭と金髪が見えた。





何、あいつら不死身なの！？


足速っ！！









紅野｢化け物(もん)かよ、あの2人！｣









流石にそれな。









三橋｢待てこらぁーー！｣


伊藤｢A返せこの野郎ーーっ！！｣









階段を駆け上がって行く俺ら。









『ちょ…ちょっと待って…！』









手首を掴まれているのと動きっぱなしで疲れてきたのもあってペースが落ちる。



すると紅野は不意に振り返ると坊主頭を蹴飛ばした。









『は…！？』









そして俺をお姫様抱っこの形で抱き抱えると再び走り出した。

第81話→←第79話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す