第56話 ページ9
伊藤side
足を止めて考え込んでしまった俺を見てAが『あっ』と漏らした。
『今日のは別に、俺に告ってきたくせにすぐに明美にいったのがショックだったとかじゃねーから!
ただあいつの顔がウザかったから困らせてやろうと思って言っただけだかんな!?』
別に傷ついた訳じゃねーから!勘違いすんなよ!って、別に何も言ってないのに1人で弁明してるAを見てモヤモヤする。
違ぇよ。そうじゃなくて。
今井に告られたって聞いてなんか知らないけど心の中がモヤモヤした。
今必死に弁明してんのも、ほんとは好きだからじゃねぇかとか、意味分かんない思考に持ってかれる。
なんだこれ。
『…って伊藤?聞いてんのか?』
伊藤「…っ!」
グルグルと頭の中で考えてると、不意にAがグイッと顔を覗き込んできた。
急に接近した端正な顔に心臓が小さく跳ねる。
『伊藤?』
伊藤「あ、き、聞いてる!分かってるよ、お前が今井なんか相手にする訳ねぇしな」
『そうだよ。もう俺恋なんかしねーって決めてるし』
何気なく発したその言葉に今度はツキンと痛む忙しい心臓。
……恋。
恋か…。
まさか、な。
怪訝そうにこちらを見詰めるAを見てはは…と笑うと、はぁ?と顔を歪ませた。
その瞬間俺とAの間を駆け抜けて行ったビーバーみたいな顔をした三橋によって一気に現実に引き戻された。
『えっ、三橋?』
伊藤「お、おい、どこ行くんだよ?」
赤坂「ちょっと邪魔とかするんじゃないわよ!」
少し前にいた理子ちゃんが不安げな顔をして叫んだ。
『…何やってんだあいつ』
赤坂「…帰ろう伊藤ちゃん、A」
伊藤「おう」
『ん』
赤坂「あら?」
じっと俺の顔を見詰めて呟いた理子ちゃん。
伊藤「な、何?」
赤坂「伊藤ちゃん顔赤いわよ?」
伊藤「えっ」
慌てて頬に手を当てる。
その様子を見た理子ちゃんは何かに気付いたように意味ありげに笑った。
赤坂「なるほどね…」
伊藤「え、な、何…」
『理子ー伊藤ー帰んないの?』
赤坂「あ、帰るわよ!うふふ…行きましょ、伊藤ちゃん」
伊藤「理子ちゃん、怖いんだけど…」
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香月なる(プロフ) - 美雨さん» いえいえ、ご指摘ありがとうございます!一応見返してるのですが結構間違えてるものですね…。また気付いた事があれば教えて頂けると嬉しいです。早く更新できるように頑張ります! (2020年3月22日 11時) (レス) id: 4194bddbe5 (このIDを非表示/違反報告)
美雨 - またまた続けてのコメントですみません。 物語パート1 〜一気に読んじゃいました。 続きが気になります。 更新待ってますね。 沢山の直しを言ってしまいすみませんでした...。 (2020年3月22日 1時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
美雨 - また続けてのコメントですみません。 物語読んでいて気が付いたのですが...。 第68話のここの部分 やべやべ、ちょっと色々混乱してデカ目の独り言喋っちゃった。 (2020年3月22日 1時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
美雨 - 続けてのコメントですみません...。 物語読んでいて気が付いたのですが...。 第66話のここの部分 倉庫の中に明久の奴らに捕まってる今井が見えた。 これ正しくは開久ではないんでしょうか? (2020年3月22日 1時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
美雨 - 物語読んでいて気が付いたのですが...。 第56話のここの台詞 『伊藤ちゃん顔赤いわよ?』 これ台詞の前の名前抜けてませんか? (2020年3月22日 1時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:香月なる | 作成日時:2019年8月7日 22時