【HQ!!】烏野の王子はマネージャー【男主】

Episode 3 ページ3

菅原side




Aはほんとに凄いプレーヤーだった。





ポジションはWS。


もちろん同じポジションの旭もエースと呼ばれる程に凄かった訳だけどそんなの比じゃないくらい。




旭ですらも毎回は決められないスパイクもAはほとんど決めて“AAの打ったスパイクは必ず決まる”なんて有り得ないようであながち嘘でもない噂が広まる程。









Aはバレーが誰よりも大好きで。


試合でも練習でも強くなる為ならどんな事でもやる、しかもそれを楽しんで出来るような奴だった。





次第にAにトスを上げられる事が自信になり誇りになり。












“俺、孝支がトス上げてくれるから安心してスパイク打てる。孝支がセッターで良かった”












気付けば俺はAに恋愛感情を抱くようになってた。






初めて人を好きになってしかも男相手でこの感情をどうしたらいいかも分からなくて。


あの時は部活にも身が入らずぼーっと何かを考え込んでしまう事も多かった気がする。







あの日、帰り道。


ぼーっとしていて赤信号の横断歩道に突っ込んでる事も気付かなかった。












“孝支っっ！！！！”












Aが俺の名前を叫ぶ声がして気付いたら俺は歩道に倒れ込んでいて。


目の前には車と、同じように倒れ込んだA。

その向こうに焦ったように俺らの名前を呼ぶ大地と旭が居て何が起きたのか分からなかった。












“もう、バレーは出来ない…って、事ですか…？”












絞り出すように言った声が病室の前に立つ俺の耳に届く。



俺を庇って車にはねられたA。





……あぁ俺はあの子の、何よりも大事なものを奪ってしまった。














菅原“A…”


“……あれ、孝支。まだ帰ってなかったの？怪我、無かったみたいだね。良かった”












Aはそう言って笑った。


自分は生き甲斐とも言えるバレーを失ったというのにこんな時まで俺なんかの心配をするAの優しさが本当に苦しかった。









俺のせいで。


有望な選手だった、プロだって夢じゃなかったAから大好きなバレーを奪ってしまった。




俺が…俺がAを好きになったから。

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