俺は男だから【今日から俺は!!】

第31話 ページ32

Aside








全力で戦った今井を全力で守ってくれる伊藤に胸の奥が少しだけ高鳴った気がした。




どこか身に覚えがあるその感覚は俺が蓋をしてしまう前に騒がしい三橋の足音に掻き消された。









三橋｢おめぇ汚ねぇ！そんな奴の唾とか手で受け止めるとかやべぇべ｣


伊藤｢お前それトイレのやつじゃねぇかよ！｣


三橋｢そいつの唾よりトイレの方が綺麗でしょ｣


伊藤｢やめてそういうの、やめて！｣


『やっぱあいつのが馬鹿だわ』









溜め息をひとつつくと俺はハンカチを渡そうと立ち上がった。




すると、俺よりも早く立ち上がってた谷川が伊藤の手を取って唾を拭いた。









谷川｢ウニ頭…お前、いいぞ｣


赤坂父｢つっぱりにはつっぱりの友情があるのだな…｣


『え、谷川って女子力高っ』


赤坂｢A、気にするとこそこじゃないでしょ…｣









呆れたように突っ込んだ理子を見て、えへっと笑うと溜め息をつかれた。








理子ちゃん、急に冷たいね…。









三橋を押し退けて岸本の前に進み出た伊藤。









伊藤｢てめぇの性根叩き直してやるよ｣









号令と共に喋り出した岸本が喋り終わらない内に伊藤がパンチを繰り出した。





岸本が反撃する間も無く次々と攻撃をしていく。









赤坂父｢速い…｣


｢あいつ何者なんだ！？｣


｢伊藤って、まさか軟高の伊藤かよ！｣


｢何か金髪とコンビで転校初日に軟高を制したって…｣









知らない内に広まっていた噂に唖然とする。




最初はただ佐川達が弱いだけだからと思ってたけど。









『伊藤、ちゃんと強いんだ……』









場外で何か下品な事を叫んでる三橋の事はまだ強いと認めるつもりは無い。









｢岸本がやられてるの初めて見たよ｣


岸本｢貴様…たかだかつっぱり野郎がよ…！｣


伊藤｢人の面に唾吐きやがって、人の事馬鹿呼ばわりしやがって！｣









相変わらず押され気味の岸本に師範がルール違反のアドバイスをした。


三橋、谷川、理子の3人の応援にどんどん熱が入っていく。









『伊藤…頑張れ…っ』









知らない内に強く握り締めていた拳をそっと開いて小さく息を吐いた。

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