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「ああ──…っと、苦しくなっちゃうから、ね?ちょっと落ち着こうか。」
「────っ!!もおやだあっ!やめたい!───ひぅ……っ!ぜんぶ!やだ!──はぁ……んっ………、ひゅっ───」
息遣いがどんどん荒くなっていく。まずい。
「ちょっ、マジで落ち着けって。」
喉の奥から絞り出すかのようにひゅーひゅー音が鳴り始める。
自分で体をコントロール出来なくなったことに焦ったのか縋るような目をしてこちらを見てくる。
「大丈夫。落ち着いて。苦しいけどちゃんと吐いて。吸うんじゃなくて吐く。分かった?伊野尾?聞こえる?」
諭すようにゆっくりと言葉を発するが、伊野尾の目は目が虚ろでおそらく聞こえていない。
このまま行くと失神してしまうだろう。できるだけ体力を奪わせるようなことは避けたい。
悩んだ末に鼓動を聞かせるようにして薮の胸元に伊野尾の耳を押し付けるようにして抱え込み直す。
少しでも安心できるように。
「伊野尾?聞こえる?鼓動に合わせて呼吸してみて。真似できる?」
先程よりは少し落ち着いたようで、こくこく頷きながら必死に酸素を求めて喘いでいる。
「──ひゅー…………ん……、ぅ…………はぁ、………はぁ、……………」
「大丈夫。何にも怖いことないから。」
背中をとんとんと叩きながら自分自身の呼吸も落ち着かせる。
「…………ふ、………はぁ、………ん、……はぁ………」
「ん、だいぶ落ち着いたな。少し疲れたなあ。」
「ん───っ、こあかった…………っ、」
「そうだな、よく頑張ったな。」
そういい、ぎゅうっと強い力で抱きしめる。
有岡も伊野尾と薮の近くにしゃがみこみ伊野尾の手をぎゅうっと握る。少しでも安心できるように。
すると強ばっていた顔がふっとゆるみ、そのまま安心しきった顔で腕の中にくたりと収まる姿はあどけなさを残したままで。
「本当に子供みたいだなあ。」
部屋に安堵の空気が流れる。
精神的にも体力的にも負担がかかっている中、この後の仕事は乗り越えられるだろうか。休ませてあげたい。
感情を顕にしてやりたくないと悲痛に訴える姿を見て誰がこれ以上無理させたいと思うのだ。
それでも彼は起きたらやるよ、という気がする。前回もそうだった。それならば。
「支えてやるしかないなあ。」
薮も有岡も大概伊野尾に甘いのだ。
それでも少しでも目覚めた時には飄々とした伊野ちゃんでいられますようにと願ったのだった。
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ocome(プロフ) - ももさん» コメントありがとうございます^^承知いたしました!♡ (2022年5月8日 13時) (レス) @page1 id: 1418944971 (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - ライブ中やリハ中に体調悪くなっちゃうけど無理する感じのお話読んでみたいです! (2022年5月8日 0時) (レス) @page1 id: 03057fdb8d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ocome | 作成日時:2022年5月7日 20時