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耳を塞いでいやいやするように首を振っている。


「───………どうしよう、俺のせいで、」


俺のせいで伊野ちゃんを怖がらせてしまった。


がくがくと膝が震える。伊野ちゃんを傷つけてしまった。どうしよう。


「───や、大ちゃんのせいじゃないよ。大丈夫。」



固まってその場から動けなくなってしまった俺を励ますかのように薮くんが肩ををぽんぽんと撫でた。


そしてそのまま伊野ちゃんの元へと駆け寄り、今まで聞いたことがないくらい優しい声で話しかける。



「伊野尾。大丈夫。誰も怒ってないよ。」


「んぅ、や…………、こあい、ごめんなさいっ、やぁぶ………、」


「うんうん。ちょっと怖かったね。でも大丈夫だから。」


薮くんが伊野ちゃんをそっと抱き寄せる。

赤ん坊を抱っこするように優しく引き寄せ背中をゆっくりと叩きながら話を引き出している。



「───っ、ふ、もう………、っ、もうむり、………ひぅ、………ぜんぶいやっ」


「何がいやなの?」


「─………みんな、みんなおこってて、こわくて、………っう、…………」


「そうだったの?さっき?」


「うん、……こわっ…───ぅ、」


怒っててってどういうことだろうか。さっきの現場は誰も伊野ちゃんに対して怒っていなかった。


むしろ温かく迎えていたはずだ。なにが引き金となったのだろう。もしかして陰で怒られていた?まさかあの時の電話?


「大ちゃん、伊野尾、なんか怒られることあったの?」


「いや…………なかった………けど、────あ、」


「ん?なんかあった?」


「んー…………あれかな、分かんないんだけどさ、………さっきね、ちょっとADさんがディレクターさんにめちゃくちゃ怒鳴られててさ……」


伊野ちゃんは全く関係ないんだけど結構本気で怒られていてそれを間近で見ていた伊野ちゃんの顔がめちゃくちゃ引きつっていたのが引っかかっていた。



「あー………、それかも……。怖かったんだろうな。なんかやられてた時にそれが引き金になったのかも……。」


「それでもそれだけでこんな、」


「いや、多分その前になんかあったんだとは思う。こいつすぐ溜め込むだろ?こんな些細なことでって思うけどそれで爆発しちゃうんだよなあ……。」


「───ぅっ、───っひぅっ…………ん───」



未だこっちまで苦しくなるくらいに泣いている。



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ocome(プロフ) - ももさん» コメントありがとうございます^^承知いたしました!♡ (2022年5月8日 13時) (レス) @page1 id: 1418944971 (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - ライブ中やリハ中に体調悪くなっちゃうけど無理する感じのお話読んでみたいです! (2022年5月8日 0時) (レス) @page1 id: 03057fdb8d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ocome | 作成日時:2022年5月7日 20時

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