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「…ん、なに?」
「ん?凹んでいる伊野ちゃん慰めてんの。」
「はは、知念に慰めてもらえるなんてね、ありがたいねえ。」
「そうだよ。高くつくからね。」
「いや、あとが怖いわ……。」
お互い顔を見合せてくすりと笑う。
神妙な顔されると俺が途端に誤魔化すのを知ってか知らずか軽い雰囲気で流してくれるのはおそらく優しさであろう。
少し話しすぎたせいかまた少しだけ心臓が暴れ始め、息を詰める。それに何故かすぐ気付く知念。
「大丈夫?」
「───…っう………、ん、………大丈夫、」
「またそうやってさ、ごまかすんだから。大丈夫じゃないよね?」
「……。」
「ね?」
「──……まあ、…ちょっとだけ、苦しい……っ、………かも………」
「ん、そうだよね。動悸?かな。落ち着くまで待つしかないのかなあ。しんどいね……。」
「──……っはぁ、………きょうさ、……ぅ、いっしょにいたの、……ちねんで、………ぅ……、─よかったよ、………っく、」
苦しさから反射的にぎゅうっと胸元を掴むようにして握った。
「ちょっと、喋んなくていいから。苦しいでしょ?」
「……ぅあ、──っ、くっそ、……………なおれ、よ、……ぅ、」
「いのちゃん。焦っちゃダメ。大丈夫だよ。深呼吸して?ね?」
知念のゆっくりとした呼吸と背中を撫でる手に合わせようとするが、座っているのにもかかわらず平衡感覚は崩れていくばかりで段々と世界にノイズがかかったみたいに全部が分からなくなる。
まただ。意識を失う前兆。さっきも経験したから分かってしまう。
「──ちねっ、………ん、たお、……れ、っん、……こわいっ、…………」
「伊野ちゃん。大丈夫だよ。怖くないから。ちょっと力抜こうか。」
「………や、───ぅ、むり、…………」
どんなに抗おうとしてもチカチカと点滅するように霞む視界と抜けていく力に恐怖を覚える。
自分の意思に反して意識が無くなることの恐怖は何回経験したとしても恐怖心しか残らない。
回復しない身体に苛立ちながらもまた意識を飛ばした。
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ocome(プロフ) - ももさん» コメントありがとうございます^^承知いたしました!♡ (2022年5月8日 13時) (レス) @page1 id: 1418944971 (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - ライブ中やリハ中に体調悪くなっちゃうけど無理する感じのお話読んでみたいです! (2022年5月8日 0時) (レス) @page1 id: 03057fdb8d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ocome | 作成日時:2022年5月7日 20時