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「……んっ……ま、ぶし………」



どれくらいそうしていたのだろうか。


気がつくと俺はその場に寝かされていた。

周りを見渡し、忙しなく動いている現場を見て時間の経過を感じる。


「っ、伊野ちゃんっ、分かる?」



こくりと頷く。焦りと怒りが知念の顔。

知らないうちにスタジオに寝かされていたのだから十中八九俺は意識を飛ばしたのだろう。


あれだけ知念に体調のことを問い詰められてものらりくらり交わしたのにこの様。


怒るのも無理ないな。自嘲するように天を仰ぐと、撮影のために組まれた照明が眩しく目を腕で覆う。



深呼吸をすると酸素が全身にいきわたる感覚がした。

体の異常がある程度落ち着くと自分自身も冷静になり、状況の分析を始める。



「………おれ、たおれた?」


「……うん。」


「……どのくらい意識なかった?……」


「…2分くらい。大した時間ではないよ。」


「……そっかあ、まだよかった………」


「っ、ぜんっぜん良くない、あとでちゃんと話してもらうからね?」


「……ん、──……ま、仕方ねえよなあ……」


この撮影が終わったらこっぴどく叱られるのかと思うとまだこうしていたいと思うが俺のせいで撮影が中断されている状況。


未だに忙しなく動いている現場を見て、申し訳ないが知念にちょっと支えてくれない?とお願いをする。


少しだけ不貞腐れたような表情ではあるががっしりと支えてくれる腕に甘え立ち上がる。


「ご迷惑おかけしてすみません。少し貧血気味だったみたいで。本当に申し訳ない。」


プロの現場でこんなことはあってはならない。重々分かっていたのにこともあろうか倒れてしまった。


自分のキャパをわかっていないなんて。なさけない。唇をかみ締めながら頭を下げる。


いつもよく担当してくださる撮影の方なのもあり、事なきを得た。それどころか立っての撮影ではなく、しゃがんだポーズでも撮りましょうか、と気を使っていただく。


ありがたさと申し訳なさと、そしてなんとも言えない悔しさに涙がほろりとこぼれそうになる。



しかしここで泣いてメイク直しとなったら余計時間がかかり迷惑をかける。



ひたすら気力で耐える。



先程からずっと震えている手の原因は貧血のせいだけではないような気がした。



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ocome(プロフ) - ももさん» コメントありがとうございます^^承知いたしました!♡ (2022年5月8日 13時) (レス) @page1 id: 1418944971 (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - ライブ中やリハ中に体調悪くなっちゃうけど無理する感じのお話読んでみたいです! (2022年5月8日 0時) (レス) @page1 id: 03057fdb8d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ocome | 作成日時:2022年5月7日 20時

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