やまない雨

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「────っ、」

「───みんな伊野尾が調子悪いこと気付いてたよ
。知念なんて「隠してるつもりなのかもしれないけれど顔色悪すぎる。あれは絶対に倒れる。」って。涼介も伊野尾の体調悪いこと気付いていたから一番最初にトイレに様子見に行ったんでしょ？」


「うん、まあ。」

「ほらね？隠してたんだろうけどバレてるんだから。
さっさと頼れば良かったんだよ。お前が言えない性格なの分かっているつもりだけどどれだけ辛いのかは分からないからさ、せめて堂々と心配くらいさせてくれ。な？」

確かに冷静になって考えたら俺が山田に支えて貰いながら楽屋に入ったのに誰も動揺してなかったし経口補水液なんて普通に置いてあるものじゃないのに普通に手渡されて飲んだ。

なんだ。頼れない俺を見越してみんなも陰でサポートしようとしてくれていたのか。俺のために。

それでも。おれは天邪鬼だから。


「──でも、いらないしんぱいかけたくない、おれはへーきだから、ごめん、」


「平気じゃなかっただろ………。例えば今日、来た時から伊野尾が素直に体調悪いってことを俺たちに言ったとしたら、リハも無理して出なくて済んで体調を悪化させることもなかったかもしれない。トイレでひたすら嘔吐いてたってことももっと早く気付けていたらこんなに体が冷えることもなかったかもしれない。陰で支えることも出来るけど限界があるんだよ。迷惑なんて誰が言った？」


「………いってないけど、でも」


「でもじゃないんだよ。お前はメンバーが体調悪かったら支えたいって思わないのか？」


「っ、そんなことない！」


「───それと一緒だよ。自分がしてやりたいことは俺達もしてやりたいと思うんだよ。自分だけって卑屈になるな。これは甘えているとかじゃないんだから。な？」



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