4、びっくりしたよ ページ4
「っマジか！！全然いい、ていうかほんと助かるわ！」
下げていた頭を上げ、俺の手を取りぶんぶんと上下に振る青年の様子に満更でもない気分になる。
なんか犬みたいなやつだなあ……ちょろい。悪い奴に騙されてそうだ。
「あ、そういえばまだ自己紹介してなかったな。俺は有栖川 帝統だぜ！あんたは？」
有栖川 帝統。
顔立ちにあった綺麗な名前だな、と思う。口には出さないが。
「俺はA A」
「Aか、改めてよろしくな！」
両手で握っていた俺の手を離し、今度は握手の形にした帝統。
白い歯を覗かせながら爽快な笑顔を見せる帝統に、俺もやんやりと彼の手を握り返した。
夜も遅かったので先にシャワーだけ浴びてリビングに戻ると、ダイニングテーブルに放置しておいた筈の使用済み食器が綺麗さっぱりなくなっていた。
まさかな、と思いソファーへゆったりと座りながらテレビを見ている帝統を見やる。
生活力なんてまるでなさそうなこの男に皿洗いなんて出来るわけないよな――いや、出来るわけない。うん。
そうは思いつつも、一縷の望みにかけて帝統に声をかける。
「えっと、帝統？ここの上にあった食器どしたん」
「ああ、あまりに至れり尽くせりなもんでさすがに悪いなと思ったからよ、お礼っていうには超ささやかだけど洗っといた」
――なんだこのギャンブラーは。まさか本当に皿を洗っていたとは。
「こんなことしかやれなくて悪ぃな」なんて言って苦笑する帝統に尊さしか湧かなくてつい頭をおさえる。
もしかすると俺はとんでもないモンスターを拾ってしまったのかもしれない。
ワイルドな服装と端正な顔立ちとのギャップにすでにやられていたのに、率先して皿洗いする根の優しい青年だなんて、そんなの反則である。
ギャンブラーだと聞いた時はやばいやつを拾ってしまったなと少々後悔したが、その時に追い出さなかった自分を褒めたい。ありがとうあの時の自分。
「おい、急に頭おさえてどうしたんだよ？皿洗わない方が良かったとか？」
「いや、大丈夫ありがとう。何でもないから、帝統もシャワー浴びておいで」
俺を心配して近寄ってきた帝統の頭をくしゃりと撫でてから、風呂場へ向かわせる。
少々戸惑いながら俺の言う通り風呂場へ向かった帝統の後ろ姿を見送りつつ、ソファーにどっぷりと座り込む。
これからの生活、賑やかになりそうだななんて考えつつ、俺はゆっくりと瞼を閉じた。
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おと姫と愉快なサカナたち(プロフ) - 帝統の小説少ないからありがたいです！更新頑張ってください！ (2021年11月11日 1時) (
レス) @page16 id: e21618e8ed (このIDを非表示/違反報告)
さぁら(プロフ) - 素敵です。好きです。(語彙力)更新頑張ってくださいっ！ (2018年12月6日 23時) (レス) id: 50e6c7827a (このIDを非表示/違反報告)
翡翠 綴(プロフ) - 夏蜜柑さん» 頑張ってください !! 楽しみにしてます !! (2018年9月17日 18時) (レス) id: a0e587eb3a (このIDを非表示/違反報告)
夏蜜柑(プロフ) - 翡翠 綴さん» コメントありがとうございます！素敵だなんてそんな、とても嬉しいです(；；) 遅筆ではありますが更新頑張りたいと思います〜！！ (2018年9月17日 18時) (レス) id: d7baab8fea (このIDを非表示/違反報告)
翡翠 綴(プロフ) - あぁぁあ … 素敵です 。更新頑張ってください 。 (2018年9月17日 3時) (レス) id: a0e587eb3a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏蜜柑 | 作成日時：2018年8月23日 22時
