その音で殺して

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｢人を呼び止めてなに言うかと思ったらそんな事かよ｣
｢…そんな事って…｣
｢そんな事だろ。｣

私の目をじっと、見る。直ぐに笑って。

｢面白いから｣
｢は、｣
｢Aが面白いから｣

｢…っ、そんなの理由になってない。｣

｢つぅか、そもそも理由なんていらねぇだろ。
理由があって、お前の事抱いて。
なに？好きになったとか言って欲しいの？｣

見下ろしてバカにしたように笑って。
こんな男大嫌い。なのにこんな男に抱かれてしまった自分が一番嫌い。
悔しくて、ムカついて、涙ぐみそうになり唇を噛みしめる。



｢Aのその真面目で冗談通じなさそうな所がおもしれえんだけど。
俺みてぇな人種無理だって顔に出てんぞ。｣

シワが寄った私の眉間を人差し指でつついて。

多分、今の私は凄く惨め。

照の事なんて見つけなければ良かった。
照の音なんて見つけたくなかった。


｢だからよぉ、｣

私の隣に立って。
私の肩に腕を回して。


｢俺の事本気で好きにさせてやるよ。｣
｢…バカ…じゃないの。｣
｢俺の事好きでたまんねぇって。｣
｢なるわけない…｣
｢はは、楽しみだな。｣

回していた腕をぐ、っと寄せて
私の頭にキスを落として。



｢賭けてやるよ。数日後、お前は俺に抱いてって言ってくるって。｣


私の目からはらりと涙が零れた。


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