そのお下げちょんぎったる。【橋田悠】

二十一枚目 ページ23

Aside




普段なら油画科にいるが
藝大の試験が迫っているため
今日からは日本画に移ることになった







結果を言うと…多摩美には落ちた








大葉「A〜!!」



皆の視線が自分に集まる




A「(なんでここにおるん！)」









,









，









大葉「何で呼び出されたか……分かるわね？」


どうせあの受験画のことだ


A「まぁ、だいたい察しはつきますけど……遥は受かってるんでしょう？」


大葉「えぇ…………A。貴方はあの絵で良かったの？」




A「良くはないでしょうね。でも自分はこれで良かったと思います。」









,









,









無理矢理話を切り上げて非常階段へと逃げた



1人になれたと思うと膝を抱えた。




A「はぁ……」



これも全部自業自得だ

受験中に無駄な感情を入れ込んだから


落ちたんだ。









ｶﾞﾀﾝｯ





上の方で音がした

思わず顔をあげると

八虎「……っ！？」


A「……なんや八虎か」









八虎「なんでこんなところに……」



A「見てわからへん？落ち込んどるんやけど」


八虎「……」



八虎は無言で困ったような顔をしていた。




A「ははっ……気ぃ使いすぎやろ」



八虎「いや……だって」



八虎は多分もう察してる



八虎「多摩美はどうだった？」
A「デリカシー」
八虎「いや「気ぃ使いすぎやろ」って言ったのお前じゃん！！」
A「別に「気ぃ使わんでええよ」とか言っとらんけど」
八虎「(……コイツ……)」









八虎は隣に腰を下ろした





八虎「Aの受験画見たけど……そのー……」


A「違和感しかなかったやろ」


八虎「まぁ、なんか押さえつけてる感じだった」








そして訳も分からず
涙が頬を伝った


八虎「えっ……あー…………その」



拭っても拭っても止まらない





八虎「日本画のことはイマイチだけど…いつものAの絵は誰かを想ってる感じ……お前橋田のこと好きなんだろ……？」



A「っ……なんで」



八虎「いや、普段見てたら結構わかりやすい」



なら遥にもバレとるんやろな……




八虎「けど多摩美の受験画はその……それを隠してる感じか直ぐに分かったよ」



全部図星だった
「こんな感情、受験には不必要」
そう決めつけていたんだ

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