惚れさせたい！

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「ぁ、有岡！」




仲のいい男友達数人と談笑中だった彼は、
それまで笑顔だったのに俺をちらりと横目で見ると『……何？』と
冷たく言い放った。


何なんだよ！？そんなに嫌いかよ！？

と一人心の中で取り乱してると




「良かったな有岡！山田君に話し掛けて貰えるなんて！」

「じゃあ俺ら先帰るな！」


と先程まで有岡と話していた男子達は目配せをして
帰ってしまった。

有岡は急に友達が帰ってしまい、しかも話しかけたのが俺ということもあり
不機嫌になってしまった。


ま、まぁいいや此処から挽回すれば




「ぁ、あのさ…これ有岡に受け取って欲しくて…」


そういって取り出したクッキーを有岡の前に差し出すと
無言で俺を見つめる有岡

何その反応！？予想外何ですけど！
てっきり『いらねーよ』とか言って罵ってくると思ってたのに。


しかも周りは「良いなぁ！山田君の手作りクッキー！」とか何とか
その視線と沈黙に耐えられずにおれは


「い、要らないなら捨てていいから！とりあえず…受け取って？」

とお得意の笑顔とクッキーを動かない有岡の手を握って
その掌に乗せた。

第一関門は強引ながらクリア




すると、





『今度は何が狙いだよ？』

「いや、別に…？ただこの前の感謝を伝えといてやってもいいかな…って」


実は結構本音で、実験とか言ったけど一番は感謝を伝えたいと思って
頑張ってクッキーを作ったつもりだった

ちらっと少し目線を上げて有岡をみると

「ふっ、お前って案外いいやつだな」


と言い放った

そんな事などいわれたこと無い俺はどう返せばいいか分からず
「は！？どこが？」と返すと


『いや、今までの流れでいったら助けてもらって当たり前みたいに振る舞いそうなのに
　律儀にお礼いったりするから…』

と聞いてこんな会話したことないから免疫が無いから
俯いて黙っているしか方法がなかった



耳と頬に熱が広がってくのを感じると


『ふはっ、お前でも嘘じゃなくてホントに照れることあるんだな。』

「うるさい！」

悔しい！悔しい！悔しい！
こんなのいつもの俺じゃない！
ていうかなんでいつも振り回されなきゃならないんだよ！？


小馬鹿にしたように笑う有岡を見返したくて


「…でも…助けてくれてありがとう…へへ」

とちゃんと顔を上げて赤くなった耳を見せるのは
嫌だったけど一度チラリと視線を反らしながらちょっぴりセクシーに見えるように
髪を掛けてもう一度目を見て微笑んだ

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