惚れさせたい！

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『涼介』


ドキンッ



なに、これ…



諦めかけてたとき聞こえたいつもより低い声が
鼓膜を揺らした時


身体を突き抜けた熱
そこから広がって行き顔…そして耳に集まっていく






心臓が大きく振動した瞬間
一度動き出したら止まらないとでも言うようにバクバクと
鳴らす







この場から逃げ出したいような、日が暮れるまで居たいような
どっちか分からなくて感情が迷子だ。








…こんなの、知らない…まさか、病気？



得体の知れない症状に戸惑いを隠せないでいると



『これで、満足か？』


少し照れたように吐き捨てた有岡に今度は胸が締め付けられた



何も返せないでいるとバチッと目が合うと
慌てて逸らしてしまった

そんな俺をからかうように



『涼介』


と再度呼んで来やがった





「な、に？有岡」




と気にしていない風に
かろうじて返事をすると




『有岡じゃねぇだろ？』



とニヤニヤしながら聞いてきた

コイツ顔や耳など頭の先まで真っ赤になって
名前を呼ばれる度にぴくぴく反応する俺を楽しんでやがる



「…だ、だぃ…き………」


『ん？聞こえない』



クソッ！コイツ！意地悪以外の何物でもない！
もうどうにでもなれ！



「〜〜〜〜！！大貴ッ！じゃね！」


恥ずかしさで耐えられない俺は家に向かって一直線
後ろからそんなんで照れてたら堕とせないぞって声が聞こえて来たけど
無視だ無視！



しばらくして頬に手を当てると熱い熱すぎる


名前を呼ばれる位で照れてしまった事が恥ずかしい
照れながらはにかむのは鉄則だけどさ！
だからと言って照れすぎ！






「病気なのかな…？」


あの胸の高鳴りの意味は分からないまま………









「おはよう有岡！」

「はよ、………山田」

いやそこ涼介じゃないんかい！

期待したわ！少し！別に呼んで欲しいとかじゃないけどね………



でもお前っていうことが多いけど時折山田っていってくれるようになった

進展した…………のか？

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