寒い日【osmn】 ページ14
秋に入り、そろそろ冬と言っていいんじゃないかってくらい寒くなりだした。
昨日まで上着が必須だったはずなのに、朝があまり寒くなかったという理由で今日は着てこなかった。
「あれ？Aちゃん上着は？」
『あ、オスマン先輩。今日は朝寒くなったんで着てこなかったです』
オスマン先輩は同じ大学のサークルが一緒の2つ上の先輩である。
私のことをよく気にかけてくれて、よくはなしかけてくれる。最近は2人でご飯に行ったりもしている。
「え、もしかしてニュース見てないの？午後から凄く寒くなるってよ？」
先輩の口にした言葉に耳を疑った。
朝、テレビはつけていたが見てはいなかったな…。
余程、私の顔がおかしかったのか先輩は笑っていた。
「今から帰るんでしょ。ちょっと待ってて、俺ももう少しで帰れるから」
そう告げて、机に向かった。
先輩はよく私を家まで送ってくれる。
最初は申し訳なくて、断っていたけれど(結局無理やり送ってくれた)。
もう、今じゃ断りもせず、普通に待つようになった。先輩といるのは嫌いじゃない。むしろ好きだ。
「ごめんね、Aちゃん。帰ろっか」
頷いて、先輩の後ろを付いていく。
すると、急に止まるもんだから、先輩の背中にぶつかってしまった。
『オスマン先輩？どうしたんですか？』
「んー？よいしょ、っと」
私の方に振り返ったと思ったら、腕にかけていた上着を私に、ふわり、とかけた。
「それ、着ときなさい。女の子は体冷やしちゃダメだからね」
にこにことしながらそういうオスマン先輩。
こういう所が、優しいんだ。
自分の気持ちを紛らわすように先輩のかけてくれた上着をきる。
当たり前だけど、ぶかぶかで、ギリギリ腕を伸ばせば手がでる程度だった。
「あ、安心してね。こういうのするのはAちゃんだけにだから」
にこにことした顔のまま言われた。
そんなこと効いてないです。
でも、安心してしまうのはもう、そういう事だろう。
「ふふ、ブカブカって結構くるよね。
…おそっていい？」
『は、はぁ！？』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 329人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
