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「なんか行かなきゃいけねぇとこがあるらしいんだ。だから、俺が持って来た。ったく、暇じゃねぇってのに。」
「そうなんだね。ありがとう。…でも、また居眠りでもしてたんじゃないの？参謀総長。」
船医は、よく俺たちを撫でる。
コアラの髪をよく撫でているから、癖になったらしい。
コアラが言ってたから本当かどうか分からねぇけど。
しかし、悪い気はしない。むしろ、船医にそんな俺得でしかない癖を付けさせたコアラに感謝したいくらい。
今も、船医は俺の髪を優しく梳いている。その華奢な手がどうも心地いい。
「よく分かったな！でも、今回はマジでちゃんと仕事してから寝てたんだぞ？」
「日頃の行いだよ、参謀総長。きっと今頃仕事溜まり始めるんじゃないの？」
船医は、口元に緩く弧を作って俺の目を真っ直ぐ見ていた。そうだ、仕事しなきゃいけねぇんだ。そう分かっていても、とても動く気になれない。
「参謀総長？」
「行きたくねぇ。」
そう言って後悔する。だって、今の俺はかなりガキみてぇだから。好きな女にこんなかっこ悪ぃ所晒しちまった。本気で恥ずかしい。でも、船医と居ると良い意味で気が緩む。
「なんで？」
「…量が多いんだよ。…船医の方が多いだろうけどさ。」
船医は、下ろした手を再び俺の頭に戻し、俺の髪をクルクルとその細い指に巻き付けながら優しく笑った。
「ふふっ、頑張れ参謀総長。貴方は沢山の仕事を任されている。それはつまり、貴方がその仕事をすると他の人員が助かるって事でしょう？それって、とてもいい事だと思わない？」
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作者名：四白眼 | 作成日時：2022年7月30日 13時
