タバコやめろよ【サボ】 (ページ16)

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「ふられたのか？」

「いや、気持ち伝えるっていうステージにも辿り着けてねぇよ。避けられてるし…。」

「前に言っただろ。アンタークは、照れ屋だと。」

「照れて避けてるって言いてぇのか？ハック。なら、俺に腕掴まれて手首外したりしねぇよ。」

「それは、力加減の問題だろうな。ただ振り払っただけではお前の握力には敵わない。アンタークは、それで力を入れて振り払ったが慌てていたから力みすぎた。…って感じじゃあないのか？」

そうだったら、いいんだけどな…。

所詮、俺たちの都合のいい捉え方。実際そうである可能性は0に近いはずだ。

「…ハック、お前ポジティブだな。」
「サボは、いつになくネガティブだな。」

「…うるせぇよ。」

ハックは、俺に資料を届けに来たらしく分厚い紙の束を俺の机に置くと部屋から出て行った。どうにも集中出来ないから部屋の窓を開けて潮風を通す。

すると、風に乗って船医が吸っているタバコの匂いが流れて来た。

「好きだ。」

本人の前で言え。

俺は、自分で自分に突っ込んだ。

ていうか、俺1回告白したよな…。あれスルーされた時点で失恋してたって事だろ？なら、俺今超絶嫌な奴じゃねぇか。ふられた癖に告った女のファーストキスを奪うとか。

俺の心は、沈んでいた。

沈みすぎて深海に到達してもおかしくないくらいだった。
　