オキナグサ (ページ8)

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・ᵉⁿᵈ ページ8

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何が起こったのかわからなかった

目の前には拳を震わせながら仁王立ちする彼と
じんじん痛む頬

あーあ、結局こうなるんだ。
私が変わっても意味が無い。彼が変わらない限り。

「さっきから何様やねん。
　いらない？ふざけたこと言うなよ」

半笑いでそう言いながら近づいてくるどす黒いなにか
同じ人間とは思えない程の黒いオーラを纏う彼

恐怖が私を襲った

近づいてくる彼とは反対に、ゆっくり後ずさりする私

「俺がおらななんも出来んくせに調子のんなよ、なあ！！！」

『ぅっ....』

背中が壁に当たったのと同時に、彼の手によって首が壁に押さえ付けられた

「大人しい俺見て安心したけ？
　すんなり俺から離れられる思ったけ？
　んなわけあるかい。なめんな言うたやろ」

怖い。という感情はいつしか無くなりただただ腹がった

変わった私に対して嫌悪感を抱き、感情に支配される貴方を惨めだと思った

『...私が羨ましいんでしょ』

苦しながらも精一杯の力で口を開いた

「あ、、？」

『自分と同族だと思ってた私がいつの間にかそうじゃなくなってしまった。
　不安にでもなった？また独りになっちゃうって』

「うるさい...」

『変わろうと努力もせず、俺は独りじゃないと思い込むために
　同族だけで周り固めて』

「だまれ、」

『それ自分が弱いこと認めず、現実から逃げてるだけでしょ』

「黙れ言うてるやろ！！！！！」

『あ゛......』

身体を思い切り床に叩きつけられ、私に馬乗りする彼

「お前になにがわかんねん！...何も知らんくせに、っ、」

奥歯を噛み締めながら私の首を締める彼とは反対に
私は何故か冷静だった。

『っ、知ってる、よ。』

「はあっ、？」

『私っ、風斗のこと、半端に好きだったわけじゃ、ないよ』

一瞬目を見開いた彼は私の首からゆっくり手を離し、優しく私を抱きしめた

「ごめん、俺、最低なことした、」

やっと落ち着きを取り戻したのか
ごめん、ごめん、と必死に謝る彼の背中を優しく摩ってあげる

「許してなんて思ってない、けど、俺、別れたくない...」

ここで頷くという選択肢がないのは自分でもわかっていた

だけど、

『うん。一緒に、ゆっくりでもいい。変わっていこう』

彼を信じてみてもいいのかな。

なんて思ってしまう私の目に、光は灯らない＿＿＿

・end
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