オキナグサ (ページ6)

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付き合いたてはしんどかった。

また同じことを繰り返さないようにと、自分を抑え込む日々。

これで私も普通の恋愛ができる。と

そう思っていたのに

ある日＿＿

「おい」

脳に直接響く程の彼の低い声

「今日一緒におったやつ誰やねん」

なんのことか分からなかった。

『へ.........？』

「とぼけるとかなしやろ。俺見たから。お前が男と楽しそーに話してんの」

あぁ。思い出した

「先輩だよ。仕事の話もしたいからお昼付き合ってくれって言われたの」

『あ？なにそれ』

バンっという音に驚き、彼の方を向くと
死んだ目で私を見る彼の姿
恐怖からか体が動かない

『な、なに、どうし

彼の片腕がゆっくりと私の首にあてられる。

「仕事って言えば何してもええの？」
「仕事って言っとけば許してくれるやろとでも思ったん？」
「なめてる？俺の事」

『ぅっ.........ぁ..』

どんどん彼の手に力が込められる
彼は話し続けているけどパニックで何も聞こえない

苦しい。殺される。

そう思った時、急に肺に空気が入った

のと同時に彼が私を強く強く抱きしめた

「苦しかった......？」

頷く私にごめんと小声で言う彼。怖い。

「でも俺も苦しかった。Aが他の男といるの見た時」

『.........そう、だよ、ね。ごめん、、』

正直、自分が悪いことをした自覚はない。
けど謝らないと殺されると思った

普通の人ならこの彼の行動を異常だと言うだろう
だけど、そんな彼を見てどこか安心する自分がいた。

彼は不器用なだけ。愛し方が下手なだけ。

""私と同じ""

〜

ていうのは昔の話で。

彼の浮気を知った私は呪いが解かれたかのように
依存、執着が薄れていった。

浮気されただけならまだ許せた
だけというかそりゃ嫌だけど

風斗の場合は、自分がされたら嫌なことを私にしているということが許せなかった

何しても許されると思っているのは貴方でしょ
なめているのは貴方でしょ

なんて過去のことを思い出しては心の中で反論する。
風斗を目の前にすると怖気付く自分が嫌で嫌で堪らない。

でも、もう、貴方が知ってる私はいないの

〜

『かざと』

「んー」

『お話ある』

大丈夫、大丈夫。と震える手を握りしめて、自分に言い聞かせる

「なーに」

『..........』

「A？」

よし、と心の中で意気込み、重い口を開いた

『別れたい、です』

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