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長谷部が右手の手首を掴み、空だった霊力を注いでもらいながら今に至るまでの経緯を話す
「成程。主、処刑ですか」
「落ち着こう?」
「主が調査に向かわれたその謎の黒い標的…から何らかの影響で今に至ると」
「多分。何より同行させた短刀6振りの行方が不明。補給が終わったら呼び出すつもり」
「ふむ…主。一言俺に"今すぐ首を取ってこい"とお命じになればこの長谷部、即座に」
「だから落ち着……
ぅおー……」
何も見えなかった
自身の頭部を目掛け"飛んできた"ということすら認識させなかったそれは、気付けば自分の右手を握っていたはずの長谷部の腕が掴んでいる
その手に握られていたのは小さく鋭利な物体
「ぅ…?」
長谷部と向かい合っている私のみが見える視界で、一瞬のうちに長谷部の背から飛び出してくる黒い物体
「…はせ、」
「下郎が」
一閃
後ろを振り返りもせず振り払ったかのように見えた一閃
月光を浴び、艶やかに光を帯びる紅い血によって彩られた刀は、緩やかに術者の手に収まる
長谷部の手に握られていた本体によって、それが"上"と"下"に斬り離される
「グ?!」
低い呻き声と同時に、重量感のある重りが地に落ちた鈍い音がする
「屑が
俺の前で主の命を狙おうなど
命を持って帰れるとでも思ったか」
ピ、と穢れた物を払うように本体についた血を払う
長谷部の斬った物を視認するため近付こうとした途端
「ってェな」
「?!」
「!
長谷部!そいつまだ生きてる!」
「ッ」
素早く後退した長谷部の足元を、切り離した筈の"上"が虫が地を這いずるようにずりずりと音を立て"下"に向かい、融合する
やがて1つになったソレは、ゆっくりと二足歩行で立ち上がる
「人間…いや違う!」
人間のものと思われる着物を身につけたソレ
顔に異常な程浮き出た血管
異常な程に発達した爪
気味の悪い程膨張した筋肉
一見人間に見えたそれは、月明かりの下で"異常"の塊でしかなかった
「速いなァお前
でも俺の首を斬り離せちゃいない
鬼斬りではないな?」
「下郎が
口を聞くな」
敵が再生した?
関係ない
また斬ればいい
倒れるまで切り尽くすまでだ
主の命を狙った標的に対し怒りが頂点に達していた長谷部の刀は、ソレの首を再び撫でる
ごろん、と転がった人型の頭部
「返せよ
俺の爪」
口角をおぞましい程上げ、ニヤリと嗤う首
その言葉と当時に、私を狙った塊がカタカタと音を立て長谷部の手から抜け出す
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雪桜 - 鬼滅の刃と刀剣乱舞のクロスオーバーの話は好きなので続き待ってます! (2020年11月29日 20時) (レス) id: 22c6e8b5c8 (このIDを非表示/違反報告)
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