審神者は鬼を切れるでしょうか【刀剣乱舞×鬼滅の刃】 (ページ35)

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主がいればいい

そんな事は当たり前だ
主の存在が己の存在意義であり、主の消失が己の消失である
もし先と同じ質問を投げかければ、97振り中97振りが同じ返答をするのは言うまでもない
しかし問題は、そんな主に触れる汚らわしい存在がこの世界に闊歩している事
主がいてくれる
それ以上の事を望むのは贅沢な事だと分かっている、分かっているのだ
ただ主人に仕えるだけの刀が贅沢の様に聞こえるかもしれない、それに実際そうなのだが、

──────────耐えられないのだ

汚らわしい、汚らわしい、触れるな、俺の主に
あまつさえ主に敵意を向けたというだけでこの上ない不愉快だと言うのに
そんな蛆虫を、放っておくなどと

主は耐えてきたのだ
審神者と言う先の見えない螺旋から

審神者に"未来"も"過去"もありはしない
つくづくそうだとは思ってきた
遡行軍を狩る"現在"以外に必要がないからだろう

人間を道具として扱うゴミのような政府から、主は解き放たれたのだ
ただ只管に刀を磨き上げていた
どんな刀より迅く、硬く、そして強く
俺は、そんな"審神者"の主に仕えていた事が誇らしい

けれどあの朝、俺に言ったではありませんか
この世界を楽しもう、と
なのに、どうしてそんな哀しそうな顔をするのですか
貴方が鬼を殺してこいと言ったのなら、一言死ねと言ってくれたのなら、どれだけ幸せだったか
この世界には俺や遡行軍以外の未知の刀がいるんでしょう
俺の知らない金属が、存在が
主に少しでも近づくのが、俺にはどうしようもなく耐えられないのです

だから俺のしたい事は1つです

鬼を、殺す

鬼がいなければ刀も必要ないでしょう
だから、鬼の元凶をこの手で、この刀身で斬ってやりたい
遡行軍もついでに殺すとしましょう。主が命じたのならば

ああ、主
俺だけの主
俺は貴方の為にこの身を振るえる事が本望なのです
だから、俺達を捨てないで下さいね

俺は貴方に恋焦がれ続けているんですよ

愛しい、愛しいA