審神者は鬼を切れるでしょうか【刀剣乱舞×鬼滅の刃】 (ページ30)

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時間遡行軍を撃退できたのだから、ひとまずは歴史改変を阻止できたと喜ぶべきなのだろう
しかしそれはそれ、これはこれ……と、朝日が昇り始めた天を仰いでいた視線を戻す
気付けば手持ちの刀全振りが見事眼前に集結していた
白目を向きながら、およそ数秒後には押し寄せてくるであろう状況と責任の追求から逃避すべく虚しく意識を飛ばす
おかしいな…肌感覚では数振りだった筈なのに、と
しかし飛んできた言葉は責任の追求でも怒号でもなかった

「主……生きていたのか、それに消えた短刀達も
主が無事で何よりだ」

「国広…」

オヲ我が愛しき初期刀
そうだよ、私は初めて生死の境をさ迷ったんだよ、大変だっ

「しかしそれはそれとして、ここはどこだ？唐突に呼び出された挙句例外的におびただしい数の遡行軍との戦闘、それに数多の人間の死体に、刀から炎を出す…人間…？……それにこの様子だと大方本丸にいる全振りを呼び出したようだが、主」

「大変だったんだよ、主」

テンパって後先考えずに呼び出したとは口が裂けたって言えない。しかし矢継ぎ早に飛んでくる無数の疑問と喋り声

………………ヨシ！

「へし切はせ」

「主、良い所に。山入口付近で瀕死の人間を発見した
俺の手には負えない、主の手を貸して頂きたい」

「……！」

長谷部が抱えてきた少年
衣服も頭髪も黄色1色の少年
ギリ生きていると言えば生きているし、死んでいると言われれば死んでいるかもしれない

「よし任せろ
私は静形とこの子の治療に専念するから長谷部は皆に説明と適当な指示を頼んだ」

「了解しました
……静形は折れなかったのですね」

「ギリ
巴ちゃんいなかったら余裕でポッキリ」

全力で治癒をとしても未だ中傷のまま木にもたれかかった隣にいるのは巴形。そして隣には何故か静形と共に巴形が連れて帰ってきた人間。静形がなんらかの事情があって行動を共にしていたのだろうが、後に話を聞かなければならない

「巴形…？やつまでここに、というか主
あの赤髪の人間は？この数は一体。本丸のほぼ全振り、いや最早全ふ」

「長谷部」

「御意に」

「それと少しばかり後に骨喰も帰還致します
もしかすると人間2人も同行しているやもしれません
それと…」

「うん？」

長谷部が言葉を濁したので、少年に当てていた治癒の手を止める

「いえ。もしかしたら1人と1匹だったかな、と」

「この世界は人間と鬼以外の厄介がいる訳……？」

「かも、しれません」