ｻｸﾗ色 (ページ16)

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君はいつも泣いてばかりだ。

友達と教室で別れ、もう人通りの少なくなった廊下を歩く。

玄関の少し手前の廊下で座りこんでいる女の子の姿。

体調悪いのかな？なんて思って近づくと、俺の知っている優しい石けんの香り。

Aちゃんだ……

目の前に立つとゆっくり顔を上げる君。
もう既に泣いていて目は充血している。

何か理由があるのかと周りを見渡すと、校門へ向う男女。

嗚呼、また君は彼のことを思って1人で泣いてるんだね。

春来と一緒だ。

見ていられなくて、俺のお気に入りのカフェへ連れていく。

何にする？って聞くとミルクティーがいいという君。

甘くてふわっと香る紅茶特有の香り、まるで君のようだなんて思わず言ってしまう。

店員さんが持ってきたミルクティーを上品に飲むその姿に思わず見とれる。

「とっても美味しいです」

綺麗な笑顔でそう笑う。さっきの涙なんか嘘のように。

一口頂戴と言って君の手からティーカップをとり、飲むとそこには赤面するAちゃん。

恥ずかしがり屋な彼女はすぐ下を向いて、顔を隠そうとする。

そんな照れた顔も見たくて頬へ手を伸ばそうとすると。

桃「Aちゃん？？」

高くて女の子らしい声でAちゃんをよぶ声に手が止まる。

そちらを向けば、俺の眉間にシワがよるのが分かる。

なんでこのタイミングに君たちが来るんだ。

きっと桃香ちゃんって子は天然だからわざとじゃないんだろうけど、どんどん顔が歪んでいくAちゃんを見たくなくて、話を遮るようにレジへと向う。

後ろをついてきていると思えば、また2人に声をかけられ一生懸命笑顔を作る君。

本当に頑張り屋さんだね。

俺が、助けてあげる。

Aちゃんの頭に手を置くと俺を見上げほっとした顔をする。

少しだけ威嚇するように松島くんに目を向けると、不機嫌そうな顔。

君には彼女がいるだろ？

きっと彼は少しずつ変化してる自分の気持ちに気づき始めてる。