シンデレラガール ページ1
.
「はっ？」
暗いからよく見えないかなと思っていたのに、櫻井は私の涙に気づいて眉をひそめた。
すぐに駆け寄ろうとして、両手のカップに視線を落とし、車と私とコーヒーのカップを順番に見ながら考えているみたい。
その動きがかわいくって、なんとも櫻井らしくて笑ってしまう。
「おい！早くこっちきて車開けろって」
「うん」
櫻井の方へ歩いて行きながら、心がほわんとあったかくなっていく感じがした。
雅紀のことはもちろんショックだけど、思っていた以上に平気なのは、櫻井の存在が私の中で大きくなっているから。
同期で、友達で、変な親戚関係になって同居しているこの人のことが好きなんだなって気付いた。
櫻井の前に来て近くで顔を見上げたら、ますます自分の気持ちに確信を持つ。
「…………ありがと」
ふふっと笑ったら、櫻井もほっとした顔でははっと笑った。
「どしたの？いつになく素直じゃね？」
「酔ってるの！」
「飲み過ぎたのかよ。こっちはまったく飲んでないっつーのに」
車で来たから当然なんだけど、いつも夜ご飯の時には晩酌するのに。
私の思いを読み取った櫻井が視線を逸らした。
「まったく連絡してこないからだろ？
なんかあった時に車出せないと困るだろーが」
「ほんとにお兄ちゃんみたい……」
カズに「お兄ちゃんが迎えに来た」って言ったのもあながち間違いでもなかったなと楽しくなってきた。
いつもより飲み過ぎたせいなのか、櫻井が心配して迎えにきてくれたせいなのか、むちゃくちゃな屁理屈もたぶん、全部に。
好きが溢れる。
「櫻井……背中かして」
「はっ？背中？」
何事？って顔をした櫻井に構わず後ろに回って、背中に抱きつくように腰に腕を回した。
「えっ？！ちょっ、何？！」
櫻井の背中は、抱きついてみたらすごく広くて、安心感があった。
なんだこれ、すっごいいい匂いする。
甘い、だけどすごく落ち着く匂い。
「ふふっ」
「泣いてたんじゃねーのかよ……」
振り向きたそうに首を動かす櫻井を阻止するみたいに腕に力を入れる。
櫻井の体温があったかすぎてまた涙が出てきそうになる。
「つーか両手塞がってる時にそんなことする？
家に着いてからにしろよ……」
櫻井がぼやくみたいに言った。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2466人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
510kana(プロフ) - ミントモモさん» ありがとうございますー！(* >ω<)もうすぐ移行します。準備中です( ´∀`) (2019年6月23日 20時) (
レス) id: 776df1ae64 (このIDを非表示/違反報告)
ミントモモ(プロフ) - はじめまして！きゅんきゅんとまりません。あまーい翔くん大好き！続き楽しみです！ (2019年6月23日 0時) (レス) id: 1f277f4269 (このIDを非表示/違反報告)
510kana(プロフ) - kazuさん» ドキドキしてもらえて嬉しいです( ´∀`)あまーいシーンは書いてても楽しいです(笑)あと少しで完結なはず！がんばります。 (2019年6月21日 8時) (レス) id: 776df1ae64 (このIDを非表示/違反報告)
kazu(プロフ) - おはようございます。すっごくドキドキしてます。甘ーい甘ーい翔さんでいてくれるかなぁ。幸せ〜。今日もお仕事頑張れちゃう。ありがとうござます！！ (2019年6月20日 7時) (レス) id: 3d79f0a9bf (このIDを非表示/違反報告)
510kana(プロフ) - キミさん» 焦らしちゃってすいません(笑)もう落ち着きましたよー(笑)その先を！ってなるかな(笑) (2019年6月20日 6時) (レス) id: 776df1ae64 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：510kana
| 作成日時：2019年4月14日 20時
