２人暮らし ページ14
.
和也が家に来て、一週間。
同じように朝はつらいけど、以前と違って今は和也と離れるのが嫌で起きたくないというつらさだ。
「おはよ」
柔らかい、寝起きの少し掠れた声で囁きながら、きゅっと抱きしめられると、心臓がぎゅーーっと痛む。
耐えきれなくなって和也の胸に顔をうずめると、さらに和也は私を抱きしめる腕に力を入れる。
そんな朝の時間が幸せすぎて、つらい。
相変わらず、昼間は何をしているとかはわからないままだけど、そこを問い詰めて和也がいなくなる方が嫌だから聞けない。
和也の言った、「妖精だから」で全部受け入れる。
それがきっと一番幸せなんだから、私にとってはこれが正解なんだ。
.
.
「月島！」
「はいっ！」
櫻井さんに呼ばれてデスクに行くと、バサッと書類の束を渡される。
「これ、急ぎ。今日中」
「ええ？！今日中って……」
渡された書類を捲りながら、時間を確認する。
もうすぐ６時。
これを全部チェックして入力して、となると急いでも二時間……いや、三時間はかかる。
「何？できない？」
櫻井さんが大きな瞳で真っ直ぐに私を睨む。
櫻井さんは座ってて、立っている私が見下ろす体勢なのに、この威圧感。
どんっと櫻井さんは背もたれに寄りかかって、キィっと椅子が鳴った。
「…………できます。残業します……」
「はいよろしく」
櫻井さんはニコッと口角を上げたけど、目は全然笑ってなくて、ため息をつきそうになったのを必死に我慢した。
派遣の若い女の子達は定時に帰って、残っていた社員も一人、また一人と帰って行く。
「うわーー……これ終わらない……」
細かい計算とめんどくさい入力が多いせいで、思っていたより進みが悪い。
櫻井さんと２人で残業も久しぶりな気がする。
和也が来てからなるべく残業しないようにしてたし。
そっと時計に目をやると、もう８時になりそうで、そろそろコーヒーって言われる頃かも、と立ち上がったら櫻井さんと目が合った。
「あっ、コーヒーですよね？」
「いや、コーヒーはいい。
ちょっと来て。会議室」
「ん？」
わざわざ会議室まで行かなくても、オフィスには他に誰もいないのに。
凝った首を動かしながら櫻井さんを追いかけた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1662人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
とも(プロフ) - イヤーもぉー素敵すぎる(*≧∀≦*)ほんとに天使か死神？のお話かと勝手に思いながら読み進めました(笑)鬼だと思っていた上司は好きの裏返しで(^o^;)和也くんの事隣に越してきた相葉くんの事…もっと詳しく知りたかったな(*^^*)素敵なお話だったから物足りないです♪ (2018年3月5日 9時) (
レス) id: b4753fc97a (このIDを非表示/違反報告)
510kana(プロフ) - seaさん» コメントありがとうございます。メッセージで返答させてもらいました。続編はどうなるかわかりませんが(´･ω･`)もやもやが残ってすいません！ (2017年12月31日 6時) (レス) id: 8f941069fb (このIDを非表示/違反報告)
sea(プロフ) - じめまして！この作品の雰囲気めちゃ好きです！続編、期待してます！しかし、初めて二宮さんと会った時に外にいたはずの二宮さんが部屋に戻るとベランダにいたのはどうやって移動したんでしょうか！そこだけがもやもやしてます。教えてください！ (2017年12月31日 1時) (レス) id: a4c7ac891b (このIDを非表示/違反報告)
みのりす。(プロフ) - 510kanaさん» なるほど！笑 何はともあれ楽しみにしてます！笑 (2017年11月21日 11時) (レス) id: a0f97483cb (このIDを非表示/違反報告)
510kana(プロフ) - つむさん» つむちゃんありがとう｡ﾟ(ﾟ´ω`ﾟ)ﾟ｡もうつむちゃんに読んでもらえるようなお話じゃないのに。櫻井さんは脇役なのにかっこくなりすぎちゃう罠(笑)二宮さん難しかったよ〜もう書けない(´pωq`) (2017年11月21日 8時) (レス) id: b12cca8c48 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：510kana
| 作成日時：2017年9月13日 6時
