オタクな彼女とSな彼氏【あほの坂田】

ごまかし ページ40

なんだかすっごく抱きつきたい気分で、ぐりぐりーーっとさかたんの胸元に頭を押し付けた。


じんわりと涙が滲んできて、それがバレないようにこっそりとさかたんの服で涙を拭いた。


「なんだよーー。Aが甘えてくるなんて超貴重！
　なんなのよ、かわいすぎかよ」


「さかたんデレデレしてるーー！きもーい！」

ふふっと顔は隠したままで憎まれ口を叩く。


カバンの中で立て続けにLINEの通知音が鳴っている。


…………絶対浦田さんだ……。


やだやだ。思い出したくない。

ぎゅっとさかたんにしがみついて、嫌な記憶を消し去りたい！と願う。



「…………A？
　やっぱ変だよね、どうした？」

さかたんが疑うような感じで聞いてくる。


ギリギリのとこで我慢してた涙が溢れてきて、今顔を上げたら絶対バレる。



「なんでもないよ。
　さかたん、わたしのこと……すき？」

「えっ？！なに？！」

「すきって言って！銀さんで！！！」

「ええ？！俺じゃなくて銀さんで？！」

「銀さんで！おーねーがーい！」


耳元にふっと吐息を感じて、ビクッと身体が固まった。


『Aーー。好きだよ』

「ほんと……なんかあったの？」

さかたんの手が、私の髪に指を通した。


「銀さーーん！！好きすぎて泣ける！」

「ええ？！ってかほんとに泣いてるじゃん！」


ごしごしってさかたんが涙を拭いてくれて、ごめんなさいって何度も心の中で呟いた。



　

気付かれないように→←あーーん

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