最近治安が悪いお客様が多いんだが？

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九井side

木曜日。

双子にも言われたが最近仕事に追われてなかなか時間を作れなかったこともあり髪がだいぶ伸びていた。

あー、双子うざい。そもそもうちの組織幹部に普通の髪のやつのほうが少ねーだろ。


でも今の髪は長さも色も手間はかかるが気に入ってる。

1度カットモデルを引き受けて以来ずっと髪を任せている。
ちょっと頭がおかしい所があるが腕はいいと思う。
いや、ちょっとではない。




――――――――――――――――――――――――

きっかけは何年か前。
出先で通行人に声をかけている奴がいた。


「あの、カットモデルを募集しているのですが少々お時間よろしいですか？！」

あー、美容師の卵か。ご苦労な事だな。
そう軽く思うくらいで特に何も無く通り過ぎた。


それから半日過ぎたくらいの頃、帰り道で同じ道を通るとさっきのやつがまだ声をかけ続けていた。
よくやるな。と、また通りすぎようとした時だった。


急にガシッと腕を掴まれた。

「お兄さん！！今お時間ありますか！！損はさせません！！、」


もうヤケになってる顔にさすがの俺も一瞬びびった。
もはや脅迫の域だ。


「わたし！AURAという美容室の者ですがカットモデルを探していまして非常に困っています！！」

こんなモデハン見た事ねーよ。こいつ下手すぎか？？

九井「いや、結構でs、、「すとか思うじゃないですか！！いやなんと！今モデルをして頂くとこの先延々無期限にでカットカラーパーマでも何でもモデルプライスでさせていただきます！！！」


ジャ〇ネットを彷彿とさせる言い回し、、
てかどんだけ自信家だよ笑笑


九井「お姉さんそんなにカット上手いの？笑
てかモデルプライスって？」


「いま上手くなってく途中ですね！！モデルプライス無料キャンペーン中です！ありがとうございます！」


あ、これプライスもキャンペーンも会話も分かってないやつだ。末期。


まぁ、下手すぎてどうしようもなかったら被害者ぶって慰謝料ぶんどればいいか。


九井「ふーん。まぁ、カットモデルやってもいーよ。」



「ほんとですか………！！！」



「ありがとうございます！！！！私はAAといいます！お兄さんのお名前お聞きしてもいいですか？！」



九井「九井」


「そうですか、ここのきさんですか！」


九井「こ、こ、の、い 、だ。あんた、ほんと大丈夫？」


そういうと

「やぁー、よかったよかった。ほんとよかった！」

と、なんとも安堵した顔をしている。

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