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「Aちゃん、あいつらが頼んでたのあった?」
「はい!」
「おっけ、じゃあお会計しようか。」
頼まれたものを持って辰哉くんが持っているカゴに入れる。
「辰哉くん私、お会計してきますよ?」
「え、いーよ。俺がしてくる。」
「いや、でもさっきからずっとそれ持ってくれてますし、いつもお世話になってるので。」
辰哉くんたちと出会ってから、私だけが優しさを尽くしてもらう訳には行かない。
「だぁめ。俺、女の子にはお財布出させないスタイルで生きてるから。」
「え…でも私は出します。」
負けじと私も言い返す。
「だから、だめだってばぁ……あ、じゃあさ、俺が出すからその代わりお願い聞いてくんない?」
辰哉くんもこのままだと埒が明かないと思ったのだろう。
「お願いですか?それだったらなんでも聞きます。」
「マジ?んじゃ、お会計してくるね。」
「ありがとうございます。」
「終わったよー」
「ありがとうございました。それ私が持ちます。」
「え〜?じゃあこっちね。」
そう言って辰哉くんはお酒が入ってない軽い方を渡してきた。
ここにきてもやっぱり気遣いが出来る人だ。
「じゃ、行こ。」
そう言って辰哉くんが手を出してきた。
「つ、繋ぐんですか?」
「うん。嫌なの〜?」
「嫌じゃないです!別に全然……!」
「そ?ほら、じゃあ俺のお願い聞いて?ちょっと散歩して帰らない?っていう。」
……散歩?
「お願い、そんなことでいいんですか?」
「いーのよ。俺Aちゃんとまだ全然話し足りないから。じゃ、行きましょーかね。」
そう言って辰哉くんが私の手を取り、歩き出した。
「Aちゃんさぁ手でも繋がないと、重い方も持ちます!なんて言い出しそうだし、離しちゃダメだよ?」
さっき私の頭の中に浮かんでいた言葉で少し焦る。
「ふはっ、図星?ほら、行くよ。」
ねぇ辰哉くん、今なんで手の繋ぎ方変えたんですか……?
「あー、かぁいい…」
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作者名:mariri | 作成日時:2023年3月18日 18時