それは突然に ページ1
それは、買い出しの帰り道だった。
私は大学を卒業後、実家で営んでいるお弁当屋さんを継ぐことにした。
特にやりたいこともなかったしね。
明日はどれくらいのお客さんが来るんだろう？
そんなことを考えていた時だった。
突然襲ってくる今までに感じたことがないほどの頭痛。
立つことなど出来るわけがなくて。
恐怖と怪訝さから顔をかろうじて上げてみれば、そこに居たのは
明らかに”人間ではない”何かだった。
「は……何なのこれ…」
私の前に突然現れたソレはこちらを興味深そうに見ている。
さすがに命の危機を感じて何とか体を動かすも、1歩下がればソレも1歩近づいてくる。
「やめて、来ないでよ……！」
私が反応していることを感じとったのかソレはどんどんと近づいて、とうとう目の前まで来てしまった。
「待って、なんで…」
頭痛がだんだんと強くなっていく。
「っいった……」
こんなに気持ち悪いものに殺されるのか？
今ここで？
あぁ、せめて買い物袋だけは家に届けて…なんて呑気なことを考え始めてしまう。
もう、なんでよりによってこんなに人通りがない？
「っはぁ、誰か助けてよ……」
その時だった。
「うわぁ、こんな所で悪趣味ねぇ〜」
「ん……だれ…」
「あぁあぁ、喋んないで。それ以上余計なことに意識使ったら死ぬよ？」
「…え……」
「いや、喋んないでってば。もう…ちょっとごめんね？」
トン
首筋に何かが触れて私の意識はそこで終わった。
「はぁ、今日で何体目よ…マジで勘弁して欲しいわ。視界に入れるこっちの身にもなれっつーの。」
「オマエサッキカラナニヲゴチャゴチャト」
「あ、あんた話せんのね。」
「ソノコムスメヲヨコセ」
「誰がお前なんかに渡すんだよ。お前は今ここで消す。」
「ナンダト？オレハマダキエナドシナ…」
「あぁうるせぇな。とっとと消えろ。」
意識を集中させ指を鳴らす。
パチン
「ウッ…！」
「はぁ、それにしても……ちょっとこの子は保護対象だな。」
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作者名：mariri | 作成日時：2023年3月18日 18時
