色づき始める ページ10
大人しく康二先輩についてきた2人と合流し、バスケ部の練習する体育館へと向かう。
「はぁー、やっと着いたわぁ。ほな、俺とAちゃんはここで待っとるから。」
「あいよー、じゃ、みんな行こーぜ。あんまり遅いと怒られる。」
「だから、誰のせいだって……！」
「あぁーほら、しょっぴー行くよ。」
「んー。」
「ちょっ、俺の事置いてかないでよ。」
「はぁ、騒がしくてごめんな？悪い人たちではないんよ。」
「全然！優しい人たちなのはわかってます。」
「そう言ってもらえて有難いわ。ほな、ちょっと準備するな。」
「待ってますね。」
康二先輩が準備をしだしたカメラやその他の器具は中々本格的で思わず見入ってしまった。
それにしても康二先輩の横顔、綺麗だなぁ……
よく考えてみたら、整った顔してるし。
「ぷはー、そんなに見られると恥ずかしいわぁ。」
「あっ、ごめんなさい。ちょっと見入っちゃって…！」
無意識のうちにガン見してしまったことに気づく。
「いや、別にええんよ？関心持ってくれるの嬉しいし。Aちゃんも写真興味あるん？」
「え、あー、えっと……」
写真はたまに撮ることもあるけど、全部スマホでだし。
興味っていわれたら、あるのかな……？
「あ、もしかしてさっきカメラやなくて俺のこと見てたん？ふふ、見とれてもうた？」
雰囲気を明るくしようとして冗談を言っているのはわかるけど、突然そんなことを言われるとどうすればいいかわからなくなってしまう。
「いや、見とれてたなんて言えませんよ。あ、仮にですよ？カメラのこと見てましたから！」
数秒、自分でも意味のわからないことを言ったのがわかる。
「なぁ、Aちゃん？あなた、わかりやすいなぁ？顔真っ赤やで。」
「え……いやちょっと暑くて。季節的にも？」
あーまた、意味わからないこと言ってる。
「慌てすぎやって、こっちまで照れるわぁ。真に受けてしまうで？ほんとにカメラ見てたん？」
「は、はい！」
「元気な返事やね。じゃあそういうことにしておきましょう！」
はぁー、何とか丸く収まった……
ちょうど康二先輩も準備が終わったらしい。
「せやけどな？見とれてくれててもええんやからな？」
「…え？」
「カメラやなくて俺にも。」
康二先輩が振り向きざまに言った一言。
「なっ！？」
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作者名：mqr1n | 作成日時：2023年6月23日 7時
