最強のお気に入り2【五条悟】

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禪「ボロい建物やなぁ壊れへんの？」

禪「旧石器時代に取り残されてるんちゃう？」

禪「ここの自販機ええもんないなあ」




言いたい放題の我が儘坊っちゃ…直哉様。来客とは思えない程傍若無人に高専内を歩く大きな背中をじっと見る。




(やっぱり何となく悟に似てるんだよなぁ)




初めて悟と会った時のあの感覚に似ている。
そしてそう思うと不思議なことに嫌な感情は持たなくなった。




禪「にしてもほんま図々しい女やと思うわ」




考える事に集中しすぎて立ち止まる直哉様に全く気付かずぶその背中にぶつかりそうになり見上げると忌々しそうに何かを見つめる横顔が目に入る。




図々しい女、私だろうか。




「やはり五条家の次期当主になられる方の横に立つにはそれ相応の血統と強さが必要なのですね」

禪「当たり前や。しかも悟君は才能の塊。その優れた才能を継ぐ子を作るために相応しい女を見つけなアカン。それなのに非術師の出？弱い？…ハッ。




ふざけるのも大概にしぃや」






先程よりも冷たくなるその瞳に思わず身構える。今は自身に直接向いてないとはいえ、間違いなく悟の横にいるAに向けられた殺意…その矛先はいずれ本当に向けられるもの。




しかしこの人の考えはおかしな話ではない。この世界では当たり前の常識で、むしろ悟のようにそんな利益をかえりみず選ぶ方が異質だろう。




そして悟の横にいる事を選ぶなら私はこの人達に、
この殺意に向き合わなければいけない。




「…じゃあもし強ければ許されますか？」




想定外の返答が来て後ろにいた女を見る。




禪(なんやこの女。さっきまでと纏っとる空気がちゃうやん)




先程までの従順そうな身振りは嘘のように消え、今はこちらをまっすぐと、まるで挑戦するかのように見つめている。その瞳から目を逸らせない。





禪「…ま、強ければいいと思うで。術師は才能が全ての世界やからな。認めてもらいたいなら強さで否定する奴ら全部捻じ伏せたらええ…それだけの話や」




禪(実際悟君はそうやし)




その言葉に思わず瞳を輝かせ直哉様の両手を握り、
ギョッとしている彼にお構いなしに話しかける。




「ありがとうございます！何だかやる気に満ち溢れてきました！」

禪「お、おう。それはええ事やな…」




何故か自分の言葉で嬉しそうに笑う花子をじっと見る。




禪(えらい可愛く笑うんやなあ)




ころころと表情が変わる彼女を見て自身の顔も綻んでいる事に彼は気付かない。

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