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Aに促され部屋から出た後ずっと考えていた。
彼女はどうしてあそこまで強いのだろうかと。
大切な仲間を失ってしまった。
悲しみや後悔、怒りといった感情が押し寄せそこに他者を思いやる余裕なんてあるわけがない。
長年この道を歩み続けた者でも難しいはず。
夏(あの時確かにAは絶望に顔を染めていた)
それでも尚、七海のことを思いやり唇を噛み締め、笑顔を見せた。
夏(私だったらそんな事が出来るのだろうか)
彼女は強い。
誰が何と言おうと、どんな事があっても前を向き続けれる彼女は強くて美しい。
夏「私も見習わないとな」
特級になったものの迷いのある私はまだまだ未熟だなと思うとこんな状況なのに笑えてしまうよ。
その時ふと悟の言葉が蘇り立ち止まる。
五『たぶん呪力が戻ってないから何もできねえだろうけど、もし灰原の遺体にAが何かしようとしたら止めてくれ。多少乱暴でも構わない』
思いのほか大丈夫そうなAに安心して部屋から出たわけだが、何故今私があの部屋から出ているのか。
背中に嫌な汗がつたわる。
『夏油先輩もゆっくり休んでください。私はもう少し雄の傍にいたいので』
あの時は1人でゆっくり友の死を悼みたいのかと思った。
だがそうではなく悟の言っていた事と繋がるのであれば。
来た道を振り返り急いで戻る。
息を切らしながら部屋の前まで行くと静かに涙を流しながら「雄」と呟くAが見えた。
初めて見るAの涙に一瞬止まってしまったが、その瞬間ほぼないはずのAの呪力が溢れたのを見て我にかえる。
何をしようとしているのか、理解してしまった。
灰原に触れているAの腕を思いきり掴み呪力をぶつけ相殺させる。
とっさの判断だが呪力が弾け消えたのを見る限り間違ってなかったようだ。
なにも起きずに済んだと安堵と同時に怒りが込み上げてくる。
こちらを向き私だと気付いた瞬間青ざめるAの腕を掴んだまま叫ぶ
「え…あっ、夏油…先輩」
夏「ッ!!A!!
君は今自分が何をしようとしてたか理解しているのか!?」
あぁ、私はなんて愚かなんだろう。
どんなに強く思えても彼女だってまだ高校生なのに。
大切なものを失って善も悪もわからなくなる時だってあるだろう。
何故彼女を独りにさせたのだろう。
そうしてれば今彼女にこんな顔をさせなかったはずなのに。
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プスメラウィッチ - とらこさん、この小説は渋谷事変編は、曲げ欲しいです。後五条悟を封印しないで欲しいです。お願い出来ますか? (2021年6月8日 9時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
とらこ(プロフ) - プスメラウィッチさん» 初めまして!この作品は五条悟オチですよ!頑張ります!ありがとうございます! (2021年5月26日 19時) (レス) id: f672fafd61 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年5月26日 12時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
とらこ(プロフ) - 華蝶-Rantyou-さん» ありがとうございます!頑張ります^ ^ (2021年5月7日 23時) (レス) id: 237713bcbc (このIDを非表示/違反報告)
華蝶-Rantyou-(プロフ) - とても面白いです!更新頑張ってください^^* (2021年5月7日 22時) (レス) id: 0c2f4f76e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:とらこ | 作成日時:2021年5月5日 21時