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「じゃあ後はお願いします」
補「はい、この子は対応のきく施設へ」
男「お姉ちゃん!」
不安そうに縋る保護した男の子を抱き締める。
折れてしまいそうなほど細いその身体に悔しさを覚える。
(私達がもっと早くに気付いてあげていればこんな風にならなかったのに)
「…大丈夫。君は化け物じゃない。人間だよ。君と同じように化け物…呪霊が見えて戦ってる人達もいる。絶対独りきりじゃないから強くなって」
男「お姉ちゃんも?」
「そうだよ。このお兄さんも。もっと他にも色んな人がいるの、だからもう怯えなくていいんだよ」
男「…わかった。僕強くなるよ。頑張る!」
「偉い、その意気よ!」
そう言ってその子は安全な施設へ保護された。
きっとこれで大丈夫。もうあんな思いはしないだろうと安心する。
そっと頭を優しく撫でられ見上げると夏油先輩だった。
夏「よくやったね。君は呪術師の鏡だよ」
「い、いえそんな!私なんてまだまだです」
今日だって呪霊を倒したのは夏油先輩で、私はその子の保護と呪霊の被害を受けた人達の治療をしただけ。
結局、この人達に私はいつも助けられている。
(いつか1人で任務が遂行できるような人間になりたい)
夏「君には君にしか出来ない事がある。私や悟には出来ない事だ。その心意気が私は素晴らしいと思う」
「先輩…」
夏「でも無理はしてはいけない。しっかり休んで自分のケアもするんだ」
「はい!ありがとうございます。…夏油先輩も無理はしないでくださいね?」
呪いを吸収するのも酷く気分を害する。呪霊を取り込む先輩はきっと遥かに苦しいだろう。
そんな私の気持ちを知ってか知らずか彼は笑う。
夏「…うん。ありがとう」
_____
夏「Aはもし悟が死にそうになってたらどうする?」
「え、もしもシリーズですか?」
夏「うん」
「んー、そうですねえ」
少しだけ首を傾げ上を見上げた彼女が発した言葉をきっと私は生涯忘れはしないだろう。
「助けますよ。例え私が死ぬとしても」
迷う事なくAは笑顔で答えた。
この子にそう言われる悟が少しだけ羨ましく思う。
今更この気持ちに名前をつけようとは思わないが、彼女が辛く悲しい過去があった分未来が幸せである事を願う。
自慢の親友ならきっと彼女を幸せにしてくれると信じて。
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とらこ(プロフ) - souさん» ありがとうございます!!そう言ってもらえるととても嬉しいです。これからもよろしくお願いします!! (2022年1月27日 8時) (レス) id: 819e9248b2 (このIDを非表示/違反報告)
sou(プロフ) - とらこさん» 現在公開されてるところまで見てきました!!続きとっても気になります!!これからもとらこさんの書く物語楽しみにしてます!!!すごい文章が入ってきやすかったので感情移入がすごく出来て途中何度か泣いてしまいました!!! (2022年1月26日 14時) (レス) id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
とらこ(プロフ) - souさん» おっと、、、バレちゃいましたね。ここからシリアス続くのでよろしくお願いします! (2022年1月26日 12時) (レス) id: 42653bac26 (このIDを非表示/違反報告)
sou(プロフ) - 今から夏油さんの離反の影が見え隠れしてて辛いです、、、続き気になるので次に行ってきます!! (2022年1月26日 11時) (レス) @page50 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
とらこ(プロフ) - 焼肉。さん» はじめまして!教えていただきありがとうございました!修正させてもらいました! (2021年5月6日 15時) (レス) id: 237713bcbc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:とらこ | 作成日時:2021年4月8日 21時