最強のお気に入り【五条悟】

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一通り呪霊を祓い終え、施設の中を進んで行くと一つの部屋に辿り着いた



五「血の匂いがする」
「！？」


扉を開けると女性が倒れていた
もう息が絶えているが、必死に後ろのロッカーを守ろうとしていたのがよくわかる



この場に何が起きたのか、一瞬で理解した
まるで身体中の血液が凍ったような嫌な感覚に襲われる



「…っ、遅かった」



気付いた時には体が勝手に動いていた




女性の亡骸を隣の部屋の床に寝かせ、瞼を閉ざさせる
女性が握っていた鍵を取りロッカーの鍵を開ける




子「ひぃ！！！た、助けて先生！！！」
子「ば、化け物は…？」



そこには男の子と女の子がいた
2人は抱き合ってこちらを恐怖に染まった顔で見上げている




無理もない、突然呪霊に襲われたのだから




きっとこの女性がこの2人を命をかけて守ったのだろう



胸が苦しくなる




悔しそうに眉を顰めるAをただ見つめる五条
こんな事、帷の中ではよくある光景だ




どんなに強くても全員を助けれるわけはない




呪術師ならば皆それは周知の事実だろう




なのに何故彼女はそこまで感情を表すのだろうか
どこまで他人のために感情を抱いてしまうのだろうか




五(そんな事してたらお前が保たないぜ)




少しの間動かなかったAが腕を2人に差し出し穏やかな笑顔を向ける




「もう大丈夫。怖いお化けはお兄さんが倒してくれたよ。安全な場所にお姉さん達と一緒に行こう」




そんなAに安堵して泣きながらロッカーから飛び出し抱きつく2人




「よく頑張ったね、えらいよ」



子「…あれ？先生はどこにいるの？」



「先生は2人を守ったんだよ。頑張ったから疲れて寝ちゃったんだろうね。もう少しだけ寝させてあげよう」




ーここからが、私の番




この2人は先程よりも安定しているとはいえ精神状態は著しく不安定だ




そして、その中には呪霊による
恐怖や怒り、悲しみがある




これらの感情は呪いに繋がる




特にまだ幼い彼らはそれらの感情をコントロールさせるのが難しく時には呪いに支配されてしまう




呪霊や呪いによる攻撃や、それらから受けた精神的ダメージをを全て吸収するのがAの術式




2人の額に手を置く




「こんな感情は持たなくていいの」




2人の中に渦巻く呪いの感情を全て吸収する




暗くて重い感情がAの中に入ってくる




一時的に意識を失った2人を抱きとめる




「よし！任務完了です！帰りましょう」




五「…あぁ」

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