都合の良い話２ ページ33
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「でも、何となくわかっててんなー。
待ってても、俺んとこには来おへんやろうなって」
「相手がゆずるさんは強すぎるわー(笑)」
まっすぐ前を向きながら、また苦笑いする健人の横顔をちらっと見る。
こういうときに、どんな表情で聞いたらいいのかわからず、
不自然な表情になってるような気がしてならない。
「…でも、ゆず兄は、関係ないよ」
「え？どゆこと？」
「ゆず兄のことは、うん…、いい加減忘れようと思ってるから」
笑ってみるけど、自分でも引きつってるのがわかる。
“忘れようと思ってる”
口に出してみたのは、そうすれば、
実現するんじゃないかって思ったからなのかもしれない。
最後と決めたあの日の告白は、自分の中でけじめのつもりだった。
そうやって自分で決めたことなのに、
今更まだ好きです、諦めきれません、なんて。
都合よすぎるでしょ？
「諦めなあかん恋愛って、あんのかな」
「ん−、そりゃあ、不倫とか…」
「でもさ、俺は想うこと自体に罪はないと思うねん」
「そうやね。
でもだんだん想うだけじゃなくて、それ以上を求めちゃうんじゃない？」
実際にあたしもそうだった、と心の中で呟く。
ただ、好きと言えるだけでよかったのに、
いつの間にか、特別になりたいと願ってしまった。
「なあ…単純にギモンやねんけどさ。
なんでそんなに、消そうとすんの？」
「え…なんでって、」
「そこまでして忘れなあかん理由ってなに？」
…出た。たまにくらう、健人の天然ド正論。
何てことない顔して、核心を突いた一言を言うときがある。
ごもっともなギモン。
なんでそんなに早く忘れなきゃ、って焦ってる？
それは―――、
「せめて、元通りになりたくて。ゆず兄と」
「え？」
「あたしが好きじゃなくなって、普通にできれば、元に戻れるのかなって」
「いや元通りって…、別に気まずくなったりしてへんやろ？」
「うん、それがね、そうでもないんだよねー…」
いつからだろう。
ゆず兄が、あたしの前で思い切り笑わなくなったのは。
いつしか、あの大好きな笑顔よりも、なぜか、
困ったように笑うことの方が多くなっていた。
それに気づいちゃったらもう、
諦める以外の選択肢が見つけられなかった。
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そらきち(プロフ) - のさん» ありがとうございます😭そう言っていただけてほんとに嬉しいです…！励みになります！なかなか更新できずにいますが、お話はしっかりできてますので、お待ちください😊 (2022年10月1日 13時) (
レス) id: 729794252e (このIDを非表示/違反報告)
の(プロフ) - これからも楽しみに待っています！気長に更新頑張ってください！！ (2022年9月21日 21時) (レス) id: fbe940271f (このIDを非表示/違反報告)
そらきち(プロフ) - exさん» はじめまして〜温かいコメントありがとうございます(*^^*)嬉しいです…！！今はシリアスな感じですが、もっどかしい二人がどうなるのか…ぜひ見守ってくださいな^^ (2022年4月21日 22時) (レス) id: 3760b31582 (このIDを非表示/違反報告)
ex(プロフ) - 楽しみに読ませてもらってます！きゅんきゅんしてます🤤でもいまは少し苦しくなる話だけどいつかゆず兄と主人公ちゃんが幸せになるのを願ってます😭💓更新頑張ってください！楽しみにしてます！！❤️❤️❤️ (2022年4月20日 16時) (レス) @page6 id: 905bf9a542 (このIDを非表示/違反報告)
そらきち(プロフ) - おきゅらさん» はじめまして！なんと、、、一気読みありがとうございます…！そのお言葉に私も嬉しくて涙溢れそうです😭✨これからもよろしくおねがいします！ (2022年4月16日 18時) (レス) id: 729794252e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：そらきち | 作成日時：2021年2月18日 22時
