第１話 ページ2
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「A、辻くんいるよ」
「しかも、ジャージ姿」
自習中、特にやることもないので小説を読んでいると友達が急に「辻くん」の名を言ったので私は反射的に小説を(優しく)机に叩きつけ、友達の席の方へダッシュした。
「どこ？」
「ほらあそこ。Ｂ組と合同で体育やってるっぽい」
友達が指差した所を見ると、グラウンドに体操服姿で友達と話している辻くんを見つけた。しかも少し笑顔。
いつも見かける時は制服姿なので、体操服姿＆笑顔を拝められるのは、きっと今日の私の運勢が１位だったからに違いない。ニュースキャスターさん、占い師さん、ありがとう。
「……写真撮っちゃだめかな。かっこよすぎる」
「A、プライバシーって知ってる？」
「それ言うなら肖像権の侵害でしょ」
「どっちでもいいけどどっちもだめだわ」
「あっ」
２人目の友達が強制的に私のスマホを取り上げ、スリープボタンを押して画面を閉じた。そして画面が暗くなったスマホをポイッと返される。もう少し丁寧に扱ってほしい。
「Ｂ組には奈良坂くん、Ｃ組には辻くん。今頃Ｂ組の女子とＣ組の女子は「生きててよかった……」って思ってるんだろうね」
「あー、わかるかも」
羨ましい。辻くんと同隊であるひゃみちゃんから話を聞いているとはいえ少し、いや、ものすっごく羨ましい。
「……あ、歌歩」
私がグラウンドの人の流れを見ていると、こちらに気づいた友達である歌歩が可愛い笑顔でこちらに手を振ったので、私も振り返した。
さすが風間さんに次ぐ小型かつ高性能。手を振る姿も可愛い。
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続く (更新停止中)
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作者名：幸ろくろ | 作成日時：2021年5月27日 22時
