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「好きな食べ物は母親の作るお味噌汁です。
って言っても最後に食べたのもう12年前ですけど」


土「…母親のこと聞いてもいいか?」


「構いませんよ」


土「お前の母親はどんな人だったんだ?」


「…母さんは優しくて、儚い人でした。
病弱だった自分は永くないことを悟ったのか、小さい頃から礼儀作法や家事や一般常識、女として生きるために必要なことを全て教えてくれました。良い母親です」


土「そうか。愛されてたんだな」


「はい」




何処かを見つめながら紫煙を吐いた土方さん。

その姿は何処か切なくて、哀愁を帯びていた。




土「Aと初めて目ェ合わした時から育ちが良い奴だとは思ってたんだ。
お前が犯人じゃねェって思ってたのはその部分も大きい」


「じゃあ、逮捕されなかったのは母さんのおかげですね」


土「だな」




母と私の存在を快く思わなかった人間の周りで育ってきたから、
こうやって私達を認めてくれる人は初めてだった。

泣きそうになる。



土「ここから先は話しにくけりゃスルーして構わねェ」



言い辛そうに眉を顰めている。

大丈夫ですよ、と返せば彼は重々しく口を開いた。




土「前の家は…どんな所だった?」


「嫌な場所でした。幸泉天人医院ってご存知ですか?」


土「あぁ。あの天人専用のでっけぇ病院か」


「そこの院長が父です。仕事ばっかりで家族のことに興味が無いような人でした。
継母は私が憎かったようで…余り良い扱いを受けませんでした。
朝から晩まで屋敷中の家事掃除。顔を見る度罵倒でした。
夫妻の子供…正当な子供達も私の事が気に食わなかったみたいで、よくサンドバックにされてました」


土「ほう。そりゃまた…苦労したな」




なんて、何故か土方さんが辛い顔をしていた。

ヤバい。空気がかなり重くなってしまったぞ。



「まぁでも、若いうちの苦労は買ってでもしろって言いますし!
今はもうあの人達ともサヨナラできた訳ですし!」



何とか場の空気を明るくしようと態と身振り手振りを大きくすればぽんぽんと頭を撫でられる。



土「話してくれてありがとうな。今日はもう寝ろ。疲れたろ」



そう言うと彼は部屋から出ていった。

手を置かれた頭が暖かい気がする。なんだか心地いい。

いつも間にか部屋に運ばれていた綺麗な布団を床に敷き、ごろっと寝転がる。



「何であんなにいい人なんだろ…」



あの優しさの源は何なのか。知りたくなってしまった。

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氏兎(プロフ) - ユイさん» コメントありがとうございます!!嬉しすぎます😭💗土方さんの思いはPart2で深堀しようかなと思ってます😏楽しんで頂けるように引き続き頑張りますー!応援ありがとうございます!!! (6月4日 21時) (レス) id: 7d17cb3f22 (このIDを非表示/違反報告)
ユイ - 初コメ失礼しまあっす!!!!コメントは残してなかったんですけど、結構前から見させていただいてました‼いい展開になってきて最高です!土方さんの思いが気になるなあ、、。応援してます!!!これからも更新頑張ってください‼ (6月3日 16時) (レス) @page43 id: 546cca6b35 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:氏兎 | 作成日時:2023年4月9日 23時

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