一 石 二 鳥 彼 氏 【坂田銀時】

一石二十二鳥 ページ23

母に遭遇してしまった日から2日が経った。
偽恋人が始まってから9日。


いつも通り17時出勤に合わせて銀さんが迎えに来てくれる。

けど…顔なんか疲れてない？



「寝不足？」

銀「いや、あー。うん。そう。」



何この歯切れの悪さ…明らかなんか隠してるじゃん。
不審に思いながらもポストに入っている脅迫文や盗撮を手に取った。

どうしても目に入ってしまう1番上の脅迫文を読むと…



『万事屋さん、一緒に住んでる女の子、随分と可愛いですね。
少し幼いけど僕のタイプです。 笑』



と、気持ち悪いことが書かれている。

驚いて写真の方を見ると、銀さんの盗撮写真があった。



「銀さんこれ…。」

銀「おっ、これ良く撮れてんじゃねぇか。
彼奴ストーカーなんて辞めて写真屋に転職しちまえばいい人生歩めそうなのにな。」



なんて、おちゃらけた様子で言ってる。

彼の顔が疲れてるのはこれのせい？

眉をひそめて彼を見上げると、手に持っていたそれを奪い取られた。



銀「眉間のシワすげーぞ。」

「銀さんに…それに神楽ちゃんまで…。」



紙に垂らした墨汁のように、彼奴の標的はジワジワと彼の周りの人にまで広がっていってる。



「万事屋にも何か嫌がらせあったの？」

銀「別に。Aが知る必要ねぇよ。」

「雇い主命令。言って。」



彼を睨みつけると頭をかきながら渋々話し出した。



銀「…ポストに神楽と新八と俺の写真が入ってたくれぇだ。」

「あとは？」

銀「あとは…パンデモニウムが玄関前に大量に放置されてた。」

「そっ、か…。」

銀「マジで大丈夫だから、気にすんなって。
パンデモニウムなんて、食いもんもらったつって神楽が喜んで炒めてたよ。
新八に関してはもう興奮しちまうしよォ。」



万事屋はメンタルバケモンみたいな奴らの集まりだから。

そう言って彼は笑った。



銀「それに、この俺にまで嫌がらせしてくるなんざ 余っ程勇気のあるやつらしい。
毛1本残らんほどに成敗してくれるわ…。」



わなわなと脅迫文と盗撮写真を握り潰している銀さんの目は確実にヤバい目をしている。



「ウォォォオ戦闘力がみるみる上がっていく。
3万…16万…30万…まだ、上がるだと…？」

銀「フフフ…私の戦闘力は53万です…。」

「あっはは。めっちゃ似てる、おもしろっ。」



フリ○ザの顔真似してる銀さんが面白くて腹を抱えていると、



銀「シラフでまともに笑ってんの初めて見たわ。」



銀さんが驚いた表情でこちらを見ている。

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