一 石 二 鳥 彼 氏 【坂田銀時】

一石四十一鳥 ページ42

偽恋人が始まってから17日。



昨日は銀さんとスーパー行った後お茶して午前五時まで仕事してお家帰って寝ました。銀さんとのお茶は楽しかったけど仕事は楽しくありませんでした。あれ？作文？



寝起き一発目、ぼりぼりと頭をかきながら今日の予定を思い出す。


そうだ。



「今日は母さんと銀さんとご飯だ…。」



時刻は十五時。約束は十七時。ちょうどいい時間だな。

シャワーを済まして化粧をして着替えて銀さんのお迎えを待つ。



銀「うぃ〜っす。」

「お〜っす。」



もう何度目か分からないお迎え。だいぶ適当。

母から指定された居酒屋へと徒歩で向かう。

親との食事なんて本来ならレストランとか行くんだろうけど…
居酒屋入ってお酒飲んだ方が話しやすいでしょ！ってことらしい。



「しくじらないでよ。」

銀「任せろって。」



私達は結婚を前提に2年付き合ってるカップルという設定なのだ。

最近この設定を忘れそうになる。

ふぅっと一息ついて居酒屋へ足を踏み入れると、


母「あ〜こっちこっち！」


なんて手を振ってる母の姿が目に入る。

母の向かい側に私、私の隣に銀さんが座った。



銀「お待たせしてすいませ〜ん。」

母「いいのよ〜今着いたところなんだし。
それより何か頼む？」



なんて言って一緒にメニューを覗き込んでベラベラと話している。

打ち解けるの早っ。



お酒を飲んでご飯を食べて、適当な世間話をしていたらもう1時間程経った。



母「この子、あんまり感情表に出さないでしょ。」

銀「前はそうだったんですけどね。最近はよく笑うしよく泣くし、可愛いっすよ。」

母「へぇ〜〜〜〜。」



なんて、2人してニタニタしながら見てくる。辞めてくれ。



「私ちょっと厠。」



あっ逃げたな！なんて2人の声は無視して外の風に当たりに行く。

よく笑うのもよく泣くのも、相手が銀さんだから出来ることなんだけどなぁ。



本当、人の心に付け入るのが上手い人だ。

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