自分の存在意義 ページ28
Aは、お父様がフローレス家の生まれだった。
この家に生まれた娘は誰でも『魔法の花』の力を継げる。
でも、息子の場合は、少しでも花の力を継げたらそれは奇跡に等しい。
お母様は、Aにたくさんの希望を託した。
まず、娘に生まれてくること。
これは叶わなかった。
次に、魔法の花の力を継いでいること。
これは、ちょっとだけ叶えられた。……本当にちょっとだけれど。
そして、せめて娘らしく振る舞うこと。
だから髪も伸ばして、美容に気を遣って、特技も女の子らしいものにした。
あと、塔から一歩も出ないこと。
……これは破ってしまった。
＿＿「外の世界はどんなに、素敵か……」
「歌上手いな！そこに誰かいるのか？」
「不用意に近づくなカリム。誰がいるか分からないんだぞ」
「何だよジャミルー。子どもの声だったから良いだろ？この塔から出たいだけだよ。ほら、この絨毯に乗せてやるよ！
……この窓、どうやって開けるんだ？」
「はぁ……カリム下がってろ、俺が壊す。君も窓から離れてくれ」
「は、はい！」
二人は、空も見たことがなかったAに外の世界を教えてくれた。Aの誕生日も、他の人と等しくおめでたいっていうことも。
だから、その時寮長から貰ったネックレスはAの宝物。
でも……
「何で外に出たの！こんな約束も守れないなんて、本っ当に最悪よ。ユニーク魔法は誰にも見せてないわよね？
全く、今すぐにでも引っ越さなければならないわ。今度はあなたを地下に閉じ込めて、鎖にでも繋ぎましょう」
「ごめんなさいお母様、もうしないから許して……」
お母様は花の力も満足に使えないAのことをここまで育ててくれた。
だから、お母様のユニーク魔法で身体の成長を止められても、文句は言わないんだ。大きい身体と低い声は醜いから。
でもこの学園に来て分かった。皆凛々しくてかっこいい。全部全部、Aだから醜いんだ。
……Aは、どうして生きているんだろう。
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ほんわか若頭(プロフ) - 陽炎さん» すごく嬉しいコメントありがとうございます、楽しんでいただけたなら書いた甲斐がありました！私もブルームくんのお話が書けなくなるのは少し寂しいですが……また読んでいただける作品を作れるよう精進して参ります！ (2022年8月22日 18時) (
レス) id: 02033b9e94 (このIDを非表示/違反報告)
陽炎(プロフ) - 暫くブルームくんロスが続きそうです。本当に素敵な作品をありがとうございます。連投失礼致しました。ほんわか若頭様の今後のご活躍をお祈り申し上げます。 (2022年8月21日 0時) (レス) id: 2f4be1d9c5 (このIDを非表示/違反報告)
陽炎(プロフ) - 明かされていくブルームくんの重い過去とそれを吹き飛ばすモケモケちゃん、という構図の緩急の素晴らしさに何故星は1度しか押せないのかを悩む日々が続きました。 (2022年8月21日 0時) (レス) id: 2f4be1d9c5 (このIDを非表示/違反報告)
陽炎(プロフ) - コメント失礼致します。作品の掲載が始まった頃から拝見しておりましたが、なかなか勇気が出ず... 完結おめでとうございます、お疲れさまでした。元ネタを練り込んだ場面やセリフ遣いに始まり、 (2022年8月21日 0時) (レス) @page45 id: 2f4be1d9c5 (このIDを非表示/違反報告)
ほんわか若頭(プロフ) - レモンさん» コメントありがとうございます！これからもご愛読よろしくお願いします。そして、これからもブルームくんを愛してあげてください！！！！ (2022年7月25日 22時) (レス) id: 02033b9e94 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ほんわか若頭 | 作成日時：2021年10月17日 14時
