短編小説集 (ページ15)

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ひとつ屋根のした((続き2 ページ15

その日の夜は雨だった。
「雨、降って来たな！」

『うん。』

「…じゃあ、俺先に寝るな！？」

『うん。』

「おやすみ！」

『おやすみ。』

やっと寝た。
私は1人で録画しておいた
ドラマを見ていた。

〔ピカッ〕

雷！！！
なんでこのタイミング！
私は小さいころから雷だけは
大の苦手で
光も音も本当に無理！

お願いだから雷止まって！

〔ピカッ〕
〔ドーン〕

『！！』

私はソファーの上でうずくまった。
それしか出来なかった。

『お母さん…』
目いっぱいにたまった涙が流れる

「A、雷すごかったけど大丈夫…じゃないみたいだなっ」

匠海はそっと私の隣に座ってくれた

そしてまた…
〔ピカッ〕
〔ドドーンッ〕

『っ！！』

声が出ないほどおびえていた。
怖くて、怖くて涙しか出ない。

そんな私の気持ちを察してくれたのか匠海が私の肩を抱いてくれた

「大丈夫だよ。俺がそばにいるから。」

その言葉がどれだけ私の力になったことか。
私はただ静かにうなづいた

その夜から私の匠海に対する考えが変わった。
イケメンにもいい奴はいるんだって

そしてもう1つの気持ちにも気付いた
好きって気持ちにも…

でも気付いたときにはもう遅くて
すぐに匠海の帰る日が来てしまった。

私は匠海を玄関先まで送った。

「A2週間ありがとなっ」

『ううん！私こそありがとねっ』

「おうっ！またAの家来てもいいかな？次は彼氏として。」

『え！？か、彼氏？』

「うん。俺さAのこと好きだよ。」

『え、ほんとに！？』

「ほんとだって笑」

急過ぎてびっくりした。
考えてみれば匠海はいつだって
急なんだ。
うちに泊まりにきたときだって

『匠海、私も好きだよ。』

匠海は優しい笑顔を見せてくれた
世界で一番素敵な笑顔を。

もう雷なんか怖くない
だって私には守ってくれる人が
いるから。
その人と一緒のときなら
雷、来てもいいよ！？
なんちゃって…