story 1 ページ3
green side
緑『龍太く〜ん。おはよーございまーすっっ』
朝からAの家の前で叫ぶ俺。
何してるんやろ って思うけどこれも3年目
『神ちゃんおはよ。家入ってや。』
執事の龍太くんは俺を家に入れてくれる。
今日から中学生3年生、とは言っても俺らの学校は幼稚園からエスカレーター式で進学出来る学園、中学受験をして外部の学校に行くのは御法度だ。
中学受験で外部から入ってくる生徒は多くて20人。他の奴らは幼稚園や初等部からの顔見知りだから新鮮味が無い。
「とも〜、おはよ。どう？似合ってる！？」
君はクリーニングしたてのスカートの裾を持ち俺の目の前でクルクルと回る。
緑『似合ってるんちゃう？』
素っ気なく言うと顔が熱くなり君から目を逸らすようになったのはこの時期からだった。
「もう素っ気ないなぁ。あ、大毅迎え行かなきゃ！ぎゃっ。」
カエルが潰れたような声を出す君は椅子に小指をぶつけたらしい。
君がバタバタして少し抜けてるのは昔から、、あほやななんて思ったり
赤『A、神ちゃんおはよー。』
語尾を伸ばして俺らに挨拶するのは幼馴染みのしげ
にこぉと笑うと特徴的な所にエクボができる
Aの家の新人執事のまとくんが車のドアを開ける
しげが乗り込むと出発進行！ とAが張り切った声が車に響いた。
俺らが出会って8年、関係は変わらないままだと思っていた。だけど俺らはずっと一緒に居られる訳では無い。家柄だって、俺らの義務だってすべてが違う
あと何年一緒に居られるのだろう。
中3の俺には難し過ぎる考えだった
しげの家はかなり大きいIT企業の家
Aの家は俺らが通っている学園の理事長の家
俺の家は京都に本家を持つお茶の名家
流星や望の家は親戚同士でデザイナーをしてお店を出している
もうすぐ俺らは関わりがなくなるだろうか。
それと同時にAの気持ちを考えなくては行けない時期が来るようになった。
俺の中３初めての春は波乱の予感が桜の花びらと共にやってきた。
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作者名：とぱす | 作成日時：2018年1月21日 18時
