やっと会えた ページ45
輪廻side
輪廻「クッソ…鼻効かねえ…！」
煙とガスの所為で役に立たない己の嗅覚への苛立ちを隠せず舌打ちをする。
鼻は効かねえ、暗くて視界も悪い、耳も特別良いわけじゃない、更には植物を伝って振動から敵を探そうにも森にいる人数が多すぎて判別できない、という最悪のコンディション。
そんな中で唯一、かろうじて頼れるのはピット器官のみ。
だけど、ピット器官だけじゃ敵か生徒かの区別がつかない。
つまり、手当たり次第に確認していくしかないんだが…。
太い枝を蹴り幹を蹴り、葉を掻き分けて木々を伝って駆け回る。
そうしていても、バラバラに散らばった生徒たちが各々の行動を起こしているらしく誰一人として会うことが叶わない。
面倒くさいという気持ちと焦り、そして未然に防げなかった己への呆れなど、色んな感情がぐちゃぐちゃに混ざり合い、最終的には舌打ちとして俺からこぼれ出る。
ふとヒンヤリとした空気を感じて振り返る。
もし、敵に氷結系・温度調節系の“個性”のヤツがいないなら十中八九、焦凍だろう。
分かりやすい目印ありがとさん、なんて心の中で吐き捨てて木を蹴る。
昼間の特訓での疲労に加えて、慣れない足場を駆けずり回った所為で足には疲労が溜まってるのを感じる。
正直もうガクガクだが、そんなん言ってる暇はないよな。
全力疾走で冷えた空気を頼りに進むと、少し開けた一本道に出た。
確かここは肝試しのコースだった筈だ。
勝手に脇道に入ってない辺り、本当に優等生だななんてどうでも良い事に感心してしまう。
どうやら焦凍と勝己は交戦中だったようだ。
…あれ？幾ら敷地内でも“個性”使って迎撃はダメじゃねぇの？
まあ、良いや。俺には関係ねぇし。
そして交戦中のその場にある、三人の人影に素直に驚く。
勝己と焦凍はもちろん、もう一つの人影も酷く覚えのあるものだったから。
輪廻「……ムーン？」
口から何かを飛ばし、空中を舞う痩身。
身に纏う服が黒な所為で見え辛いが、あの“個性”は間違いない。
あれは、だって……。
輪廻「ムーンッ！！」
面会はただの一度も許されなかった。
お礼の一つも言えなかった。
たった一人、俺に生きろと言ってくれた。
ずっと、ずっと会いたかったんだよ。
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ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - 鋼夜さん» ステイン様の小説も書いて欲しいです (2018年9月9日 16時) (
レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)
鋼夜(プロフ) - きなこねこ。さん» 楽しみにしてくださり、ありがとうございます！！ 次章でも楽しんで頂けるよう、頑張りますのでどうぞよろしくお願いします！ (2018年4月29日 22時) (レス) id: 0d16a2c0e0 (このIDを非表示/違反報告)
きなこねこ。 - もうすぐ７章目ですねー!輪廻ちゃんがどう動くのか楽しみです！ (2018年4月29日 0時) (レス) id: d0d6790e43 (このIDを非表示/違反報告)
鋼夜(プロフ) - きなこねこ。さん» ありがとうございます！楽しく読んで頂けているのなら、本当に嬉しいです！ (2018年4月21日 22時) (レス) id: 0d16a2c0e0 (このIDを非表示/違反報告)
きなこねこ。 - 楽しく読ませていただいています!輪廻ちゃん好き...。もっと伸びてほしい! (2018年4月21日 22時) (レス) id: d0d6790e43 (このIDを非表示/違反報告)
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