一人は怖い ページ37
輪廻side
逃げるように出久の前から立ち去り、森に飛び込む。
喉に何かが詰まったような違和感があって息がし辛い。
それだけじゃない。
手が震えて奥歯が噛み合わない。
俺今、何しようとした？
出久の首に手ぇかけて、何しようとした？
そんなの頭では分かってる。
輪廻「俺、今……出久を、締め殺そ…う、と……？」
自分の行動に理解が出来ず、頭の中に浮かんだ答えを口に出すと言葉にし難い恐怖が吐き気を伴ってやってきた。
「うぐっ…」と呻き声を上げて胃の中からせり上がってきたものを押し込めようとする。
けど、どれだけ耐えようとも上がってきたものを嚥下することができない。
結局、耐えきれずに俺は側にあった木に手をついてその木の根元にソレをぶちまけた。
胃の中に殆ど何も入ってなかったのか、胃液ばかりが口から出てきて喉を焼く。
何度か吐いたことはあるが、こんなにも喉が焼き切れるんじゃないかと、喉が潰れるんじゃないかと思うのは初めてだった。
『ほぉ…我の介入に耐え自我を保ったか。
あの少年も命拾いしたところだな。
やりおるな小娘。
……まあ、結果がその様ではな。』
輪廻「……うるせぇよ…」
感心したような、嘲りを含んだようなそんな声に小さく、小さく呟くように抗議する。
きっとコイツは人格干渉しようとした。
今回は奇跡的に精神干渉に留めれたけど、それでも干渉された。
それはつまり、俺は俺の意志で、俺の考えで出久の首を締めようとした。
出久を恐怖で支配しようとした。
たとえそれが蛇に干渉されたからだとしても…それでも俺は……。
しゃがみ込んで木に額をくっ付けて大きく息を吐き出す。
手の震えはまだ収まらない。
さっきよりマシなだけでまだ吐き気もある。
そしてなによりも怖い。
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い。
何を考えてもそれしか浮かんで来なくて、手だけじゃなくて身体中が震える。
震えるな、と両手で自分を抱え込むように二の腕を掴んで見るけど一向に効果はない。
浅い息ばかりが口から漏れ出して、自分を鼓舞するような言葉も出てこない。
ただひたすら思うのは、「帰りたい」と言うそれだけ。
師匠が、トリさんが、マザーが、朔が、チビ共が、みんながいるあの場所に帰りたい。
ただそれだけ。
ピリリリ、と尻ポケットに入れていた携帯が突然鳴る。
番号なんて確認せず、俺は半ば縋るようにその電話を取った。
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ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - 鋼夜さん» ステイン様の小説も書いて欲しいです (2018年9月9日 16時) (
レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)
鋼夜(プロフ) - きなこねこ。さん» 楽しみにしてくださり、ありがとうございます！！ 次章でも楽しんで頂けるよう、頑張りますのでどうぞよろしくお願いします！ (2018年4月29日 22時) (レス) id: 0d16a2c0e0 (このIDを非表示/違反報告)
きなこねこ。 - もうすぐ７章目ですねー!輪廻ちゃんがどう動くのか楽しみです！ (2018年4月29日 0時) (レス) id: d0d6790e43 (このIDを非表示/違反報告)
鋼夜(プロフ) - きなこねこ。さん» ありがとうございます！楽しく読んで頂けているのなら、本当に嬉しいです！ (2018年4月21日 22時) (レス) id: 0d16a2c0e0 (このIDを非表示/違反報告)
きなこねこ。 - 楽しく読ませていただいています!輪廻ちゃん好き...。もっと伸びてほしい! (2018年4月21日 22時) (レス) id: d0d6790e43 (このIDを非表示/違反報告)
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