愛憎の夏 ページ2
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アラームがなった。
置き時計の側面のスイッチをスライドさせて、音を止めた。
朝7時。
カーテンの隙間から真夏の眩しい日差しが照りつける。
軽く伸びをして立ち上がった。夜中に履いだのであろう掛け布団が床に落ちているのに気づかず、私は足をもつれさせた。
重い足を持ち上げて階段を降り、私は台所へ向かった。
携帯をいじりながら冷蔵庫を開き、いつも同じ場所にあるりんごジャムときゅうりとマヨネーズを手に取る。
そして棚に置いてある食パンを2枚取り出し、レンジに放り込む。
毎朝のルーティン。
両親は共働きで、仕事が休みの日以外は私たちが起きる時間よりも早く家を出る。そのため基本的に朝食は自分で用意することになっているのだが、料理に興味がない私は大抵食パンか卵かけご飯に、マヨネーズをつけたきゅうり丸かじりで済ませてしまう。
お母さんは土曜日も仕事があることが多く、お父さんは平日休みの仕事だ。何をやっているのかは知らない。
毎日私よりも早く起き、きちんと作った朝食を食べるお兄ちゃんの姿が、今日はなかった。
確か、この土日にバレー部の合同合宿があるって言ってたっけ。
ピピッと音を立てたレンジから食パンを皿に移し、電気がついていないリビングに行った。
リビングのテーブルに何やら黒い塊が2つ置かれている。
お兄ちゃんと私の弁当袋だ。
朝食は各自で準備している我が家だが、昼のお弁当はお母さんがしっかり用意する。平日は給食があるので、私の分はお母さんが土曜日に仕事があるときだけだが。
それよりも、問題なのはもう学校にいるであろうお兄ちゃんのお弁当がここにあることだ。
「明日の昼は各自持参だから！お願い！」
昨日の夜、お兄ちゃんがお母さんにそう言っていたことを思い出した。
毎年夏に行われるバレー部合同合宿。
合宿所は毎回持ち回りだそうで、今回はお兄ちゃんの通う梟谷高校だ。
梟谷高校はこの家から自転車圏内。そしてなんとも運のいいことに、私がこれから向かう水泳クラブは、梟谷高校と同じ方向にある。
優しい妹の私が、兄のピンチを救ってやろうではないか。
時計を見ると長針は3を差していた。
私は食べかけの食パンを半分に折り、食べる速度を上げた。
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作者名：ねむねむねむね | 作成日時：2024年2月26日 23時
