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「待てー！！」
トイレを出て廊下を歩くと、後ろからものすごい形相で走ってくるフィルチ_____と、その前を爆笑しながら走る双子の片方____もちろんどちらかはわからない____がいた。
壁に張り付いて彼らを避けようと思ったのも束の間、Aの鼓膜に怒号が響いた。
「お前、私をそんな目で見るな！」
とんだとばっちりだ。
どうしたものかと思考を巡らせる前に、視界がぐるりと回って足元が地面から離れた。
「ようA！奇遇だなあ！落ちないように気をつけろよ！」
彼はAを片手で担ぎ上げ、そのまま走った。
「いきなりなんなの！」
「おっと、お姫様抱っこがお望みだったかい？こりゃあ失敬！」
「そっちのほうが嫌！」
持っていた教科書を落とさないよう握りしめるのにAは精一杯で、されるがままだった。
彼はスピードを落とすことなく廊下を曲がり、すぐそこの空き教室に入っていった。
フィルチの声が遠ざかっていくのを確認すると、先程までの乱雑な扱いとは一転して、優しくAを下ろした。
「危ないところだったな、僕がいなかったら君、今頃校内中の掃除をさせられてるところだったぜ」
「あなたがフィルチを引き連れて来たんでしょう？」
Aは深いため息をついた。
「一体今度は何をしたの？」
「なんにも。ジョージとリーと猫の鳴き真似をしただけだぜ____三階の廊下で」
「最悪ね」
Aもフィルチのことは得意ではなかったが、これには同情せざるを得なかった。三階の廊下はミセス・ノリスが石にされた場所だ。
「あいつらうまく逃げやがった、僕だけ追われるなんてあんまりだ！」
「自業自得じゃない」
「ママに散々言われてきたことを君にまで言われるなんて！こりゃあ君にケツをぶたれる日がくるのも近いかもな」
反省の色がまるでない様子に、Aは思わず笑った。
「猫のことがあってから、あいつずっとピリピリしてるのさ。三階の廊下で息をしただけで罰則だ、君も気をつけろよ____それ、なんでそんなに濡れてるんだ？」
フレッドはAが持つ教科書に怪訝な視線を落とした。
「飲んでいた水を零しただけ」
「ふーん？」と言い、フレッドは呪文をつぶやきながら杖をヒョイっとひと振りした。すると教科書の水気がどんどんなくなっていくのがわかった。
「どうもありがとう」
「どういたしまして。それじゃあ僕は寮に戻るよ____目、冷やしたほうがいいぜ、キュートな顔がもったいない」
「____随分とキザなこと言えるのね」
Aは照れ隠しかのように笑みを零した。フレッドも釣られてニヤッと笑って、「じゃあな」と空き教室から出て行った。
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yuu(プロフ) - ハリーオチも見てみたいって思ってしまいます🥺 (1月28日 21時) (
レス) @page18 id: 2fc2dde4c4 (このIDを非表示/違反報告)
ねむねむねむね(プロフ) - さくらねこさん» コメントありがとうございます！更新を楽しみにしてくださる方がいるとわかって、すごくやる気が湧いてきました！こちらこそ、今後もぜひよろしくお願いします！❤︎ (2023年3月11日 21時) (レス) id: f136dcc095 (このIDを非表示/違反報告)
さくらねこ(プロフ) - 最近は、この作品が投稿されるのが待ち遠しい日々です。更新楽しみにしています！ (2023年3月11日 19時) (レス) id: 3e43640b9a (このIDを非表示/違反報告)
ねむねむねむね(プロフ) - ちぢぶさん» コメントありがとうございます！自分で書いていてわかりにくくないか不安だったのでそう言っていただけてすごく嬉しいです！✧私も主人公ちゃんの性格大好きなのでもっとたくさん魅力を引き出せていけたらなと思います！こちらこそ、これからもよろしくお願いします！ (2023年3月8日 15時) (レス) id: f136dcc095 (このIDを非表示/違反報告)
ちぢぶ(プロフ) - コメント失礼します！情景がすっと思い浮かんでくるような描写の仕方やキャラ達の個性が引き立つセリフの言い回しがとっても好きです...！主人公ちゃんのキャラクターも素敵で、キャラ同士の絡みも読んでてワクワクしました...！これからも応援しています！ (2023年3月7日 17時) (レス) @page27 id: a1d11d1f69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ねむねむねむね | 作成日時：2023年2月21日 12時
