40 距離感 ページ42
もうすぐ期末試験が始まる。
勉強は嫌いじゃないけど大好きでもない。
でも勉強を放棄する気にはなれない。
いい点をとったら達成感もあるし、何より姉ちゃんが喜ぶ顔が見れる。
それをモチベにして俺は今、リビングで勉強している。
夜ご飯を食べ終えたリビングは、大人組が酒を飲んで寛いでいた。
飲んでハイになった壮五さんをなんとかソファーで寝かしつけ、三月さんはうとうとしており、大和さんだけが静かに酒を飲んでいた。
離れたところから三人を見ていると、ふとこの前の撮影を思い出した。
ほんとにこの人たち、アイドルなんだな。
頭では理解していても、こうして一緒に過ごすうちに距離感がわからなくなる。俺はただの家政婦なんだから、もっと対応に気を付けないとな。
視線が伝わったのか、大和さんが振り返って目が合う。
「なに？シオンちゃん」
「なんでもないです」
ぱっ、と目を逸らして手元の教科書たちを見る。なんだか集中できなくなってしまった。
それを汲んだのか、汲んでいないのか、大和さんにちょっと散歩しようと声を掛けられた。
「シオン」
少し冷たい風が頬を撫でた。
なんとなく頭がクリアになった頃に大和さんに話しかけられた。
「お兄さん、最近寂しい」
「…は？」
何を急に。
じろりと横を見る。穏やかで静かな大和さんがそこにいる。
「今さら距離とられても困るってこと」
「……」
大和さんは、なんて鋭いんだろうか。
そんなに俺の態度が露骨だったのか。
「お前がどう思ってるかは知らないけど、俺たちはもっとお前さんと仲良くなりたい」
「大和さん……」
アイドルだから。
家政婦だから。
そんなこと気にせずに、いつも通り接してもいい、のか？
「何かあったら一人で抱えずに、お兄さんに相談すること」
くしゃりと頭を撫でられる。温かい。
心の奥も、大和さんの熱を通してなんだか温かくなっていくのを感じた。
「ありがとう、ございます」
照れ臭くなって俺の顔を覗き込んでいた大和さんから顔を背けた。
小さく笑い声が聞こえたが、まだ手は俺の頭に置いたままだった。
払いのける気にもならなかったのでそのままにしておいた。
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弥生 - 今まで読んだアイナナの男主の中で、一番面白かったです。 (2021年9月20日 20時) (
レス) id: a8e691c982 (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ(プロフ) - ゆぅあ(o・ω・o)さん» コメントありがとうございます！随分前のお知らせでしたので困惑させてしまいましたね、すみません(^^; 更新待っていただけて嬉しいです。ありがとうございます！ (2021年2月1日 18時) (レス) id: 137c45cd89 (このIDを非表示/違反報告)
ゆぅあ(o・ω・o)(プロフ) - 間違えました！！！！ですけどまた更新待ってます (2020年12月14日 22時) (レス) id: f45915f976 (このIDを非表示/違反報告)
ゆぅあ(o・ω・o)(プロフ) - 来年の三月まで待ってます！！ (2020年12月14日 22時) (レス) id: f45915f976 (このIDを非表示/違反報告)
成瀬 - 早く続きが読みたいです！お願い致します (2020年4月22日 11時) (レス) id: 9df39f7e96 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さくらんぼ | 作成日時：2016年5月8日 12時
